ナッツアレルギーについて①

院長です。

最近になり食物アレルギーのなかでも、木の実(ナッツ)類によるアレルギー(ナッツアレルギー)が増えています。ナッツ類にはさまざまな種類があり、クルミ、カシューナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ)などが挙げられます。なお、ピーナッツ(落花生)は豆の仲間で、いわゆるナッツ類とは種類が異なります。

(以下に示すデータは、「令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書 (令和4年3月 消費者庁)」より引用しています。)

2020年に行われた消費者庁による調査では、1位が鶏卵、2位が牛乳で、3位がこれまでの小麦に変わって木の実類となっています(グラフ「即時型食物アレルギーの原因食物」)。
木の実類の中では、 クルミは463例(木の実類の56.5%)で最も多く、次いで、カシューナッツが174例(木の実類の21.2%)、マカダミアナッツ45例(木の実類の5.5%)でした。全体に対する割合は、クルミが7.6%で、鶏卵、牛乳、小麦に次いで4位となり、2位のカシューナッツは174例(全体の2.9%)で、エビ152例、カニ42例、大豆73例より頻度が高くなっています(表「木の実類内訳」)。

年齢別の原因食物をみると、0歳群は鶏卵、牛乳、小麦で96.2%を占めていますが、1・2歳群から7-17歳群までは、鶏卵、牛乳、木の実類が上位3品目を占めています。木の実類は、1・2歳群で3位(15.4%)、3-6歳群で1位(27.8%)、7-17歳群で2位(16.9%)でした(表「年齢群別原因食物」)。

ショック症状(命に関わるような重症の状態)の原因食物でも1位が鶏卵、2位が牛乳、3位が木の実類でした(グラフ「ショック症状を呈した原因食物」)。
ショック症例の木の実類の内訳は1位がクルミ、2位がカシューナッツ、3位がアーモンドでした(表「ショック症例の木の実類内訳」)。

2005年以降の傾向をみると、上位品目の鶏卵、牛乳、小麦がほぼ横ばいであるのに対して2014年以降、木の実類は増加しています(グラフ「上位品目の症例数比率の推移」)。木の実類での内訳をみると、クルミの増加が著しく、次いでカシューナッツが増加しています(グラフ「木の実類の症例数比率の推移」)。
当院でも、ナッツアレルギーと診断されるお子さんが増えてきており、実際のデータをお示ししました。この調査が4年前に行われたものであることを考えると、現在はさらに増えている可能性があります。

次回は、ナッツアレルギーの症状や診断についてお伝えしたいと思います。

(2024.12.5)