カテゴリー: アレルギー、スキンケア

 食物アレルギーに関する最近の考え方

院長です。先日のおはなし会のテーマは、「食物アレルギー」でした。その中で特にお伝えしたかったのが、「経皮感作」と「経口免疫寛容」でした。 アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン(抗原)」といい、私たちの身のまわりには、多くのアレルゲンが存在します。このアレルゲンが体の中に入ると異物とみなして排除しようとする免疫機能がはたらき、「IgE抗体」という物質が作られます。この状態を「感作」といいま…

 ワセリンと日焼け

院長です。 先日の外来でのこと、湿疹で受診されたお子さんのお母さんが、「ワセリンを塗ると日焼けがひどくなるので、朝のスキンケアのときにワセリンを塗らないようにしています」と仰いました。私は「ワセリンは、日光の紫外線をブロックする作用があるくらいなので、逆に塗ってもらった方がいいですよ」とお伝えしました。 ワセリンには紫外線をブロックする効果があり、たっぷり塗った方がその効果が大きい、という研究…

 抗議文が提出されました(ひとつ前のエントリーもお読みください)

院長です。 ひとつ前のエントリーで紹介したテレビ番組の問題ですが、番組を放送したテレビ局に対し、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本臨床皮膚科医会、日本皮膚免疫アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本アレルギー友の会(患者会)が合同で抗議文を提出し、声明を発表しました。関連学会および患者の会が合同で迅速に行動されたことは、治療を受けておられる患者さんのためにも大きな意味…

 先日のテレビ番組の内容について:「脱ステロイド」の問題

院長です。 9月7日に放送されたテレビ番組で、「脱ステロイド治療」に関する体験談について放送されたそうですね。私は観ていなかったのですが、その後、インターネット上で話題となり、その内容を番組ホームページで確認することができました。客観的にみても、その内容は中立性を欠く一方的なもので、治療中の方々を不安にさせ一般の方々に誤った情報を流布するひどい内容だな、と思いました。残念ながら、現在その体験談に…

 新型コロナワクチンとアナフィラキシー

新型コロナワクチンの接種が始まり、副反応としてのアナフィラキシーの報告例についての報道を目にされた方も多いことと思います。 アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」とされ、「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」を、アナフィラキシーショックと診断します。日本アレルギー学会による「アナフィラキシーガイドラ…

 仮性アレルゲンとは?

院長です。 先日のブログの中でふれた「仮性アレルゲン」について、今回は詳しくお伝えしたいと思います。 食物アレルギーで見られるアレルギー反応では、食物の摂取により体の中でヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質がつくられ、それらがアレルギー反応を引き起こしますが、食物中に自然に含まれている化学物質、あるいは保存されている間に産生される化学物質のなかで、アレルギーに似た症状を起こす物質がありま…

 魚を食べてアレルギー症状?:ヒスタミンによる食中毒

院長です。 夏になると、魚を食べた後にアレルギー症状を発症し受診するお子さんが多くなります。実はこの症状、本物のアレルギー症状とは言えないのです。 魚肉には、アレルギーではないのにアレルギーと同じような症状を引き起こす物質(仮性アレルゲン)が多く含まれています。仮性アレルゲンとは、アレルゲンではないにもかかわらず、その食べ物のなかに含まれるいくつかの化学物質により、食べると食物アレルギーのような症…

 新しい「授乳・離乳の支援ガイド」:食物アレルギーに関して

院長です。新たに出された「授乳・離乳の支援ガイド」について、今回は食物アレルギーに関することについてお伝えしたいと思います。このガイドでは、以下のようなことが書かれています(太字の部分)。 ・子どもの湿疹や食物アレルギー、ぜんそく等のアレルギー疾患の予防のために、妊娠及び授乳中の母親が特定の食品やサプリメントを過剰に摂取したり、避けたりすることに関する効果は示されていない。子どものアレルギー疾患…

 アトピー性皮膚炎の発症予防

院長です。 食物アレルギーのもとになるアトピー性皮膚炎の発症予防として、新生児期からのスキンケア(保湿剤塗布)の効果を検証した研究が紹介されていました。下記のサイトでお読みいただければと思います。 https://www.blog.crn.or.jp/lab/09/15.html?fbclid=IwAR0qv_QozIn6JN4iPkdVZpwNc9yS7ONvPBxd-iS1d0cVRYfit…

 アレルギーと片頭痛

 院長です。  片頭痛は、脳の血管・神経の過敏反応により引き起こされる頭痛で、大人の場合は基本的に片側性なのですが、18歳未満では両側性であることが多いとされています。それほど頻度は多くないものの、当院でも頭痛を主訴に来院されるお子さんがおられます。発熱もなく、他にも特に誘因は見当たらず…。痛みに対しての投薬でしばらく経過観察になることが多いのですが、実は片頭痛を訴えて受診する小児・思春期のお子さ…