院長です。
先日のブログの中でふれた「仮性アレルゲン」について、今回は詳しくお伝えしたいと思います。
食物アレルギーで見られるアレルギー反応では、食物の摂取により体の中でヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質がつくられ、それらがアレルギー反応を引き起こしますが、食物中に自然に含まれている化学物質、あるいは保存されている間に産生される化学物質のなかで、アレルギーに似た症状を起こす物質があります。この物質を「仮性アレルゲン」といいます。仮性アレルゲンとしては、以下のようなものが知られています。
ヒスタミン:ほうれんそう、トマト、なす、とうもろこし、さば など
セロトニン:トマト、バナナ、パイナップル、キウイフルーツ など
アセチルコリン:トマト、なす、たけのこ、やまいも、さといも など
サリチル酸化合物:トマト、きゅうり、じゃがいも、イチゴ、りんご、メロン など
仮性アレルゲンに反応しやすい人と、そうでない人がいます。また、大量に摂取したときに症状が強くなること、アレルギー症状が毎回起こるわけではないこと、症状は軽く多くは1時間以内に治まることが多いのが特徴です。対策としては、食材が古くなると化学物質が増えるものが多いので、食材は新鮮なものを調理に使用することが重要です。また、加熱すると症状が出にくくなることが多いので、加熱・湯切り・あく抜きなどの加工をしっかり行い少量ずつ食べることで、強い症状が出るのを防ぐことができます。
また、症状が出たことのある人は、体調が悪い時にはこれらの食品を食べるのを控えるか、一度に食べる量を少なくしてください。強く長い症状が出るときには、仮性アレルゲンではなく食物アレルギーのことがあり、その場合は血液検査で確認してもらいましょう。 (2020.7.4.)