今日の「おはなし会」

院長です。今日は、今月の「小児科の先生とおはなししよう」の日でした。「子どもとメディア」というテーマでお話しさせていただきました。

テレビやビデオ、そして最近ではパソコンやスマートホンなどの普及によって、われわれ大人だけでなく子どもたちの生活様式も大きく変化しています。外遊びの時間が激減し、睡眠時間は短くなり就寝時刻は遅くなってきています。それに伴い、子どもたちの体力や視力の低下が顕著となっていることは、報道などでもご存知かと思います。また、乳幼児がテレビやビデオを視聴する時間が長いほど、言葉の発達が遅れることも指摘されています。メディア漬けの影響の主なものをまとめると、以下のようになります。

・外遊びや読書、家族や友達との語らいの時間を減らす。
・歩行歩数の減少により、長時間立っていられない、長く歩けない、バランスを崩してすぐ転ぶ、転ぶときに地面に手を出す時間がかせげなくて顔から落ちてしまう…。
・筋力の低下
・視力の低下だけでなく、立体視力が未発達:ドッジボールで突き指する・ソフトボールやバレーボールで顔でボールを受ける、階段を踏み外す…。
・五感が育たない
・コミュニケーション能力が育たない
・学力が低下する
・親の子どもに対する愛着形成だけでなく、子どもの親に対する愛着形成をも大きく阻害する。
「自分が孤独である」と感じている子ども、「自分を厄介者、場違いな存在」と感じている子どもが、世界の国々の中で最も多い。

子どもがメディアと接する時間が長くなってきていることが、このようなことをもたらしているわけですが、よくよく考えてみると、その根本には私たち大人の変化があることにも気づかされます。「大人のメディア漬けチェック」項目は、以下の通りです。

(1)両親そろってテレビ好き
(2)深夜までテレビやビデオを見ることが多い
(3)テレビは一日中つけっぱなし
(4)朝起きてすぐにテレビをつける
(5)何か音がしていないと寂しい気がする
(6)接触時間のコントロールができない
(7)ゲームやブログ、ネットサーフィンをしていると時間がたつのを忘れてしまう
(8)子どもがそばにいないとホッとする

いかかでしょうか。まずは私たちのメディアとの付き合い方を見直したうえで、子どもたちの生活環境の整備を図る必要があろうかと思います。
最後に、小児科医会からの提言をお示しします。合わせて、啓発のためのポスターもご覧ください。

「子どもとメディア」の問題に関する提言(小児科医会2004年)
1.2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控えましょう。
2.授乳中、食事中の テレビ・ビデオの視聴は止めましょう。
3.すべてのメディアへ接触する総時間を制限することが重要です。
4.子ども部屋にはテレビ、ビデオ、 パソコンを置かないようにしましょう。
5.保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールをつくりましょう。