院長です。前回の続きの、風邪に関する第2弾。今回は「発熱」について。
風邪症状の中で、最も気になるものが発熱ですね。では、なぜ発熱するのでしょうか。
ウイルスが体の中に侵入すると、ウイルスを排除しようと体内の免疫機構が働きだします。その過程で内因性発熱物質というものがつくられ、脳の視床下部にある体温中枢にはたらき、体温を上げるよう身体各部に指令が出され、一定のところまで体温が上昇することとなるのです。体温が上昇すると、
ウイルスや細菌の増殖が抑制される
白血球の機能が高まる
免疫機能が高まる
といったことが起こります。つまり、ウイルスが体温を上昇させているのではなく、体を守るために私たちは体温を上げているのです。
体温が上昇する過程においては、熱放散を抑えようと皮膚の血管が収縮し、手足は冷たく顔色は悪くなります。また、ガタガタ震えるのは、筋肉の熱産生を促すものです。もっとも体力を使うこのような状態においては、温めてあげて体温が上昇するのを助けてあげる必要があります。逆に体温が上昇し安定した後は、必要以上に体温が上昇し体力を消耗しないように、薄着にして掛物などで調節するようにします。
このように発熱は、体を守るための大切な生体防御機能のひとつであると理解されています。安易な解熱剤は避けるべきだということも、ご理解いただけるかと思います。
・解熱剤を使用する上での主な留意点
①効きすぎによる低体温ショック(高熱ほど、その可能性が高くなる)
②解熱後の体温上昇による体力の消耗
③解熱時の大量発汗による脱水のリスク
④解熱による病状の悪化(ウイルスや細菌の増殖)
⑤解熱剤そのものによる副作用
解熱剤の使用は、発熱にともなう頭痛などがひどい場合や、高熱が続き眠れない状況が続いたり十分な水分摂取ができない時など、やむを得ない時のみに限るべきでしょう。できるだけそばに付き添い不安を和らげてあげることが、最も大切なことだと思います。