フォローアップミルクに関すること

 院長です。先日のおはなし会で、フォローアップミルクに関するご質問がありました。これまでも何度かこのブログで取り上げてきていますが(2016.2.2.、2014.3.25.)、もう一度述べたいと思います。
 WHO(世界保健機関)の定義では、フォローアップミルクは「離乳期の乳児の食物の液状部分として使用するための食品」と定義されていて、育児用粉ミルクではありません (ちなみに育児用粉ミルクは「母乳代替品」と定義されています)。決してフォローアップミルク=育児用粉ミルクの一種というわけではないのです。ただし、日本国内では、粉ミルクの一種として認可されたという歴史があり、混乱を生む一つの要因となっています。
 厚生労働省から出されている「授乳・離乳の支援ガイド」には、フォローアップミルクについて以下のように書かれています。

 フォローアップミルクは、母乳または育児用ミルクの代替品ではない。必要に応じて(離乳食が順調に進まず、鉄の不足のリスクが高い場合など)使用するのであれば9か月以降とする。

つまり離乳食が順調に進んでいれば、フォローアップミルクは不要ということです。離乳食が進まない場合などに、不足する栄養成分を補うための『食品』がフォローアップミルクです。それまでどおりの授乳を継続しつつ、離乳食が進まない時に与えるべきものなのです。
 フォローアップミルクは、普通の育児用粉ミルクに比べて安価なのですが、その理由は、微量元素の銅・亜鉛が含まれておらず、たんぱく質など牛乳成分に近く製造過程が簡素だからです。「9か月になったらフォローアップミルクに」という宣伝のために、粉ミルクからフォローアップミルクに変えておられる方が時々おられますが、栄養のバランスからいっても避けなければなりません。「なぜ売られ続けているのか?」「宣伝がまかりとおっているのか?」、その理由は分かりません。乳業メーカーと国との関係の中で決められることで、現状が改善される可能性は今後も低いだろうと思います。
 インターネット上には、フォローアップミルクの使用を勧める情報が多く流れていることは承知しています。正確な情報は、上記のとおりです。 この件に関することだけでなく、氾濫する情報の中から正しいものを選択するのは、大変難しいことと思います。正反対の情報に遭遇した時などは、遠慮なくお問い合わせください。子どもたちのために、私たちも協力していきたいと思っています。 (2016.6.26.)