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百日咳の流行

院長です。
麻疹に続いて百日咳が例年に比べ流行しており、今回は百日咳について触れたいと思います。

百日咳とは

百日咳は、百日咳菌と呼ばれる細菌が主な原因で、この菌がのどなどについて起こる感染力のとても強い感染症です。多くの場合、家族や周囲の人から感染します。

症状

典型的には5-10日程度の潜伏期の後、最初は鼻水と軽い咳が出て、かぜのような症状から始まります(カタル期:2~3週間)。この時期が、最も感染力が強いとされています。次に、コンコンコンコンという短い咳が立て続けに出てくるようになり、10秒以上続くようになります(痙咳期:2~3週間)。咳が出ている間は息ができないので苦しく、顔が真っ赤になります。その後にヒューという音を立てて息を吸うようになります。咳は夜間に多い傾向があります。この時期を経て、徐々に回復していきますが、数か月にわたって症状が長引くこともあります。

大人やワクチンを接種した人が百日咳にかかった場合、軽い咳が長引くだけで自然に治癒するため、ウイルス性の風邪と見分けるのは困難です。問題は、赤ちゃんをはじめ家族にうつすことです。母親からもらう免疫力が弱いために新生児でもかかることがあり、1歳になるまでの赤ちゃん、特に生後3か月未満の赤ちゃんが感染すると重症化することがあり、命の危険があります。

治療

治療には、マクロライド系抗菌薬(以下、マクロライド)が使用されますが、2011年から中国でマクロライド耐性の百日咳菌(以下、耐性菌)が報告され、その頻度は年々増加しており、日本でも耐性菌の報告がみられています。マクロライドに代わる抗菌薬としてはST合剤がありますが、低出生体重児、新生児、妊婦には禁忌ですので注意が必要です。

予防接種

現在、百日咳に有効なワクチンは3種混合・4種混合・5種混合ワクチンの中に含まれています。現行の定期接種は生後2か月から開始される計4回接種ですが、それ以降の追加接種は設定されていません。そのため、抗体が減少してくる幼児期から学童期では4回のワクチン接種を受けているにも関わらず、感染者の報告がなされています。日本小児科学会では、任意接種となりますが、就学前に3種混合ワクチンを、また現在11~12歳の定期接種となっている2種混合ワクチンの代わりに3種混合ワクチンの接種を推奨しています。

おわりに

百日咳の予防のためにも、生後2か月を迎えたら速やかに5種混合ワクチンを接種しましょう。3種混合ワクチンの接種は任意接種となりますが、お子さん自身の感染を予防し周囲への感染拡大を防ぐ効果が期待できます。3種混合ワクチン接種を希望される方は、当院までお問い合わせください。

百日咳ポスター

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