Cold
こどもの風邪診療

こどもの風邪について
風邪とは多くの場合、急性上気道炎(普通感冒)を指します。主にウイルスの感染による上気道(鼻腔や咽頭等)の炎症性の病気で、咳・のどの痛み・鼻汁(鼻みず)・鼻閉(鼻づまり)などの局部症状、および発熱・倦怠感・頭痛など全身症状が出現した状態のことです。
80~90%以上がウイルスの感染によるものであり、そのほか10~20%が細菌やマイコプラズマ、クラミジアなどの感染によるとされています。
特に乳幼児が風邪をひきやすいのは、まだ抵抗力が弱くウイルスに対する抗体をほとんど持っていないためです。 また子どもは感染対策を徹底することが難しく、保育園や幼稚園で集団生活を送っていると特に風邪をひきやすくなってしまいます。
風邪の症状
- 発熱
- のどの痛み
- 関節痛
- 鼻水
- 咳
- 筋肉痛
- 鼻づまり
- 痰
- 寒気
主な症状
鼻水
- はじめは透明な鼻水が出ますが、2~4日で粘っこい鼻水に変わっていきます。このときに鼻水が黄色や緑色に近くなることがありますが、これは白血球がウイルスや細菌と戦って死んだ残りの物質が含まれるからです。つまり感染を起こしている証拠です。鼻水・鼻づまりは夜に認められやすい特徴があります。夜は鼻水の分泌が増えるだけではなく、鼻粘膜の腫脹が起こります。特に夜間就寝中や明け方に強くなる傾向があります。
- 鼻水を分泌する鼻腺の数は体表面積あたりでは成人よりも小児が多いため、分泌量が多くなると言われています。鼻呼吸が主であり、口呼吸が困難な低年齢児ほど鼻水の過多による鼻づまりが生じやすい傾向にあります。
咳
- 正常の気道では、気管の内面全てが粘液の層(異物を捕らえる層)で覆われています。その粘液の層が繊毛(異物を運び出す毛)の動きによって咽喉頭(口側)に向かって移動し、常に気管内を清掃しています。運ばれた異物は痰として体外に排出されたり、胃に入って分解されたりします。
- 咳(湿性)は大抵この粘液の動きの停滞が原因です。特に子どもは粘液の増加によって掃除が間に合わず停滞しやすいことに加えて、吐き出す力が弱いため咳が長引きます。さらに繊毛は「冷たくて乾いた空気」で機能が低下するため、冬場は特に咳が治りにくくなります。
発熱
- 子どもでは一般に37.5℃以上を発熱と考えます。
- かぜの原因となるウイルスやその他の病原体は、熱に弱く、発熱は、体に入ってきたウイルスなどの病原体を増殖させないための免疫反応です。したがって急いで体温を下げる必要はありません。
- 発熱時の体温の高さとかぜの重症度は、必ずしも関係しません。高熱だけが原因で、脳の障害が起きることはありません。
- 原因となるウイルスによっては、高熱が1週間前後続く場合があります。
治療
- 小児のかぜに十分な有効性が認められている薬は無く、あくまでも症状の緩和のために処方される薬がほとんどです。市販薬は、不必要な薬が含まれていることが多く、副作用のリスクが高まりますので、お勧めしません。かぜの市販薬は、多くの国で6歳未満の子どもには禁止されています。
- 解熱剤に病気を治す効果はありません。発熱していても、ある程度元気であれば、使う必要はありません。
- 解熱剤は発熱のため、頭痛などの痛みが強い、水分がとれない、眠ることができない、といった場合に使いましょう。
- 解熱剤を使用する場合は、6時間以上の間隔をあけ、1日2回くらいを目安としてください。
風邪のまとめ
- 小児のかぜの原因は、ウイルスが80〜90%以上と大半を占めています。
- かぜによる咳や鼻水は、平均すると1~2週間くらい続くとされています。
- 小児のかぜの合併症としては、中耳炎(15%)や気管支炎・肺炎(5%)などが挙げられます。抗菌薬(抗生物質)による予防効果は、ほとんどありません。
すぐに受診が必要
次のような場合はすぐにでも受診するようにしてください。
- 生後3ヵ月未満のお子さんの38℃以上の発熱
- 半日以上、水分が全く取れない
- あやしても不機嫌がずっと続く
- 呼吸が苦しそう
一度受診した方が良い
- 38℃以上の発熱が4〜5日以上続く
- 咳や鼻汁が2〜3週間以上続く
- 耳を痛がる