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赤ちゃんのあたまのかたち外来
赤ちゃんのあたまのかたち外来について

赤ちゃんの頭はやわらかく、頭の形がゆがむことがあります。その原因のほとんどは、向き癖などによる位置的頭蓋変形と呼ばれるものです。
これらのゆがみは生後2か月までに発生するケースが多く、ゆがみが軽度のものであれば、寝返り・お座りできるようになれば自然に改善されることもありますが、ゆがみが重度の場合は、期待したほどの改善が得られない場合があります。
その改善策のひとつとして最近になり、ヘルメットによる頭の形の矯正治療ができるようになりました。
生後1か月健診を終えて、頭の形のゆがみが気になる場合は、一度、通常の診察時間内に受診してください。自宅で行える体位変換やタミータイムなどの理学療法についてご説明します。
生後3か月を過ぎた赤ちゃんで頭の形のゆがみが気になる場合は、「赤ちゃんのあたまのかたち外来」を受診してください。ヘルメット治療が必要と判断されれば、具体的な治療についてご提案させていただきます。
頭のゆがみの原因
赤ちゃんの頭がゆがむ原因は、大きく分けて2つです。
頭のゆがみが病気によるものか、病気でない要因によるものかを判別することが必要です。
病的要因(頭蓋骨縫合早期癒合症)
縫合線が早期に癒合し、脳の成長を妨げてしまう頭蓋骨縫合早期癒合症などが該当します。早期に適切な診断、治療を受ける必要があります。
外力(位置的頭蓋変形症)
寝ぐせや子宮内や産道を通るときの圧迫などによる変形(位置的頭蓋変形症)が該当します。当院では、こちらの症状を治療対象としています。
頭蓋変形のパターン
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斜頭
向きぐせがある赤ちゃん・胎内環境による後頭部への圧力を受けた赤ちゃんによく見られます。
- 頭頂からみると、平行四辺形に見えることがあります。
- 耳の左右差があることがあります。
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短頭
仰向け寝の時間が長い赤ちゃんによく見られます。
- よく絶壁と表現されます。
- 頭の前後の長さが通常より短いのが特徴です。
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長頭
NICUで数ヶ月過ごした赤ちゃんに見られます。
保育器内で横向きの姿勢をとることが多いことが要因とされています。
頭蓋変形の影響
基本的に、外力による頭蓋変形が脳の成長や精神発達に影響を与えることはないといわれていますが、以下の2つの点で影響がある可能性があります。
整容
将来的な整容面に影響する可能性があります。
機能
頭蓋変形が顔面や耳の左右差へも影響を及ぼす場合、噛み合わせ、眼鏡がかけにくい等への問題が発生する可能性があります。
頭のゆがみの治療方法
生後1~2か月の赤ちゃん
頭のかたちに気になる点があれば、通常の外来を受診してください。頭蓋骨縫合早期癒合症を代表とする病的変形と、向き癖などによる位置的頭蓋変形のいずれかを判断します。
病的変形であれば、専門病院に紹介します。位置的頭蓋変形であれば、理学療法について詳しくご説明し、経過観察させていただきます。
生後3~6か月の赤ちゃん
ヘルメット治療の適齢時期になります。この時期に頭のかたちが気になる場合は、「赤ちゃんのあたまのかたち外来」をご予約ください。
頭のゆがみの治療方法
頭の形を改善する方法には「理学療法」および「ヘルメット治療」の2つがあります。重度のゆがみについては、自然治癒が難しいという研究結果があります。
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理学療法
主には、「体位変換」と「タミータイム」(腹ばい運動)を通して、赤ちゃんの頭の一定箇所に圧力がかからないようにします。
4か月以上~月齢が高くなるほど期待できる効果は薄くなるため、早期の受診をお勧めしています。 -
ヘルメット治療
赤ちゃんの頭に合わせたヘルメットを使用し、平坦化部分の成長を促します。
効果は高いですが、自費診療のため費用が高くなります。
治療の開始が早いほど、治療期間は短くなります。
理学療法
頭蓋変形が顔面や耳の左右差へも影響を及ぼす場合、噛み合わせ、眼鏡がかけにくい等への問題が発生する可能性があります。
体位変換
【目的】
向き癖を改善することにより頭にかかる圧力を左右均等にすることが目的です。
【方法】
・寝る際の頭と足の方向
・抱っこする腕、授乳の際の方向
・話しかける方向
※うつ伏せ寝は呼吸ができなくなる可能性があるため、寝かせるときは必ず仰向け寝にします。
タミータイム
【目的】
赤ちゃんが起きているタイミングに、赤ちゃんをうつ伏せにして過ごす方法です。
頭、首、上半身の筋肉の発達を促進するため、一定箇所への圧力がかかることを防ぎます。
【方法】
お母さんの胸やお腹、膝の上に赤ちゃんをうつ伏せにすることから始め、慣れてきたらおもちゃや絵本で興味を引き、うつ伏せ運動を行います。
※窒息を回避するため、固いマットや床の上で、必ず保護者がみている環境下にて行ってください。
ヘルメット治療

当院では、ヘルメット治療にベビーバンドを導入しています。
赤ちゃん一人ひとりの頭の形に合わせたフルオーダーメイドのヘルメットを制作し、バランスのよい頭の成長を促します。
※ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭に圧力をかけてかたちを変形させるものではありません。
※ベビーバンドは2022年に医療機器として承認を取得しています。
(一般的名称:頭蓋形状矯正ヘルメット 医療機器承認番号:30400BZX00090000)
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オーダーメイド
3Dカメラで計測された頭のデータを元に、お一人おひとりの頭の形状に合ったヘルメットを設計・製造します。
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高い通気性
通気性向上のため大きな通気孔を設けています。
赤ちゃんが長時間快適に装着できるよう、通気性を考え抜きました。 -
清潔
クッションが簡単に着脱でき、ヘルメットは水洗い可能。
クッションは洗濯機でネット使用の洗浄が可能なため、清潔に保つことが出来ます。
リスク・副作用
- 皮膚炎(発赤、ただれ)
- 発汗、汗疹(あせも)
ヘルメットの構造と治療原理
ヘルメット治療の原理
ヘルメットを装着することで、ゆがみ部分に空間をつくり成長を促進させます。
※歯科矯正と異なり力を加えて変形させるわけではありません。
ヘルメット構造
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シェル
樹脂系の硬い素材で作られており、目標形状に誘導する役割。
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クッション
シェルと頭の緩衝材として機能し、肌トラブルを軽減する役割。簡単に着脱可能。
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バンド
ヘルメットを脱着する役割。
基本的に、治療中は一定位置でバンドを止めます。
突出部が成長したり、赤みが発生した際のサイズ調整や圧力調整弁としても機能します。
あたまのかたち外来での診察の流れ
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STEP1診断
まず、視診と触診を行います。病的変形の可能性が無ければ、3Dカメラで赤ちゃんの頭を撮影し、ゆがみの重症度を評価します。
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STEP2ご説明
解析結果は約30分で届きますので、その結果をご説明します。
結果説明後に、ヘルメット治療のご希望があれば、ヘルメット作成を依頼します。 この時点で、費用をお支払いいただきます。 -
STEP3ヘルメット装着
オーダーメイドのため、ヘルメットが届くまで約2週間かかります。当院にヘルメットが届きましたらご連絡いたします。
その日を含め3日以内に受診していただき、ヘルメットの装着を行います。
治療上の留意点
- ヘルメットの納期
- オーダーメイド作製のため、ヘルメットを発注してから装着するまでには約2週間程度かかります。
- ヘルメット装着時間
- お風呂やお手入れ以外の23時間の装着が推奨されています。
装着時間が長いほど、平坦部の成長が促進され、治療効果が高くなります。専用のアプリでの記録をお願いしています。 - 清潔に保つ
- ヘルメットは定期的に洗浄する必要があります。
手入れが不足すると、臭い・皮膚の炎症・不快感などの問題が発生します。 - 通院頻度
- 通院は月に1回程度が目安です。治療経過や赤ちゃんに問題が起きていないか確認を行います。
赤ちゃんの月齢や歪みの度合いによって、頻度が異なることがあります。 - 治療期間
- 2〜6か月が標準的な治療期間です。赤ちゃんの月齢と歪みの度合いによって異なりますが、低月齢で歪みの度合いが低いほど治療期間は短くなります。
治療費用について
- 自由診療
- 330,000円(税込)
治療費用には、以下が含まれます
- 3D撮影費用
- 頭蓋形状矯正ヘルメット「ベビーバンド3」
- 治療終了までの診察代
※医療費控除対象のヘルメット治療です。確定申告の際に申請を行ってください。最終的に申請内容が容認されるかは各税務署の判断になりますのでご留意ください。
費用をお支払い後、ヘルメットの作製に入ります。
なお、ヘルメットの交換や2個目については、以下の費用になります。
破損、紛失等によるヘルメットの交換:220,000円(税込)
治療延長希望等による2個目のヘルメットの作製:275,000円(税込)
ご予約・お問い合わせ
ご予約は電話のみの受付になります。
お問い合わせはメール(yuiku.baby-kids@jasmine.ocn.ne.jp)でも受付しております。