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水いぼがあるとプールに入れない?

院長です。

新年度が始まり、新たな環境で過ごすことになるお子さんも多いのではないかと思います。今日は、先日ご質問をいただいた水いぼについてお伝えしたいと思います。

水いぼとは

水いぼはウイルスが原因の皮膚の疾患で、幼児が集団で生活すると知らずにうつし合っている、誰でもがかかりうるごくありふれたものです。原因ウイルスに効く薬は無く、一時的に数が増えても数か月から1年前後で自然と治るものです。いぼの内容物にウイルスが存在していて、それが感染源となります。皮膚と皮膚の直接接触でうつり、引っ掻くことで感染を広げることになります。日本小児科学会は、「自然治癒傾向があり放置してよい。しかし、自家接種や感染の伝播を防止するため、ピンセットでの摘出や液体窒素での除去など、積極的な治療が行われることもある」としています。アメリカ皮膚科学会とアメリカ疾病予防管理センターも、「自然に治るので治療の必要は無い」としています。

水いぼがあるとプールに入れない?

しばしば問題とされる「プールに入れるかどうか?」については、日本小児科学会(日本小児科学会)が「プールの水では感染しないので、プールを禁止する必要はない。 多数の発疹のある者については、プールでタオル、浮輪などを共用しないよう、プール後はシャワーで肌をきれいに洗うよう指導する」、こども家庭庁(こども家庭庁)が「プールの水では感染しないので、プールに入っても構わない。タオル、浮輪、ビート板等を介して感染する場合もある」、日本小児皮膚科学会(日本小児皮膚科学会)が「プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう」という見解を示している通り『水いぼがあってもプールに入ることは問題なし』、というのが現在の共通認識です。

水いぼの治療

治療については、先ほども触れたとおり自然治癒傾向があり放置してよいものとされています。専用のピンセットでの摘除法(痛みと少量の出血があるため、局所麻酔薬テープを事前に貼ることがある)、冷凍凝固療法等、積極的な方法が行われることもあり、医療機関により方針は異なります。当院では、かなり以前には摘除法を行っていましたが、現在は取りやめています。理由は大きく2つあります。一つ目の理由は、文字通りむしり取ることになるので、とても痛いということ(局所麻酔薬テープを使用しても、痛みが無くなるわけではなく、複数個所の摘除はお子さんに大きな負担となる)。二つ目の理由は、ウイルスに触れてから症状が明らかになるまでに2~7週間、時に6か月と長期間であり、摘除の時点ですでに他の場所にも感染している可能性があり、摘除しても完全に無くなるとは限らないためです。皮膚のバリア機能が未熟な乳幼児や、肌荒れがある場合に、水いぼを引っかいた手で別の箇所を触ることでその個所にも感染が拡大するので、スキンケア(皮膚の汚れを落としてから保湿剤を塗布してバリア機能を維持する)を行いながら感染拡大を防ぎ、すでにある水いぼの自然治癒を待つようにお勧めしています。

まとめ

  • 水いぼはウイルスが原因の皮膚の疾患で、幼児であれば誰でもかかりうるごくありふれたものであり、自然と治るものです。
  • 水いぼがあってもプールに入って構いません。
  • 水いぼの数が増えないよう、日々のスキンケアを行って自然治癒を待ちましょう。

 

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