院長です。昨日、味覚の認識できない子どもが増えているというニュースをみました。長くなりますが、以下に引用します。
〈30%余の子ども 味覚認識できず〉
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141020/k10015526681000.html
〈「甘み」や「苦み」などの味覚について、およそ350人の子どもを対象に東京医科歯科大学の研究グループが調べたところ、基本となる4つの味覚のいずれかを認識できなかった子どもが全体の30%余りを占めたことが分かりました。研究グループは味覚の低下は食生活の乱れや生活習慣病につながるおそれがあるとして、子どもたちの味覚を育てることが必要だと話しています。
調査を行ったのは、東京医科歯科大学の植野正之准教授の研究グループです。
研究グループは、おととし、埼玉県内の小学1年生から中学3年生までの349人を対象に「甘み」や「苦み」など基本となる4つの味覚を認識できるかどうか調査を行いました。
その結果、「酸味」を認識できなかった子どもは全体の21%で、「塩味」は14%、「甘味」と「苦み」については6%の子どもが分からないと答えました。
また、いずれかの味覚を認識できなかった子どもは107人と全体の31%を占めました。
研究グループによりますと、味覚を認識できなかった子どもはジュースを毎日飲んでいたり、野菜の摂取が少なかったりしたほか、ファストフードなどの加工食品を好む傾向も見られたということです。調査を行った東京医科歯科大学の植野准教授は、原因ははっきりしないものの味の濃いものを好むことが味覚の低下につながっている可能性もあるとしたうえで、「味覚が認識できなくなるとさらに味の濃い食品を好んだり食事の量が増えたりするため、食生活の乱れや生活習慣病につながるおそれがある。子どものたちの味覚を育てることが必要だ」と話しています。〉
羊水中には、数多くの味覚刺激物質ならびに匂い物質が含まれています。これらの多くは母親の食事に由来するもので、赤ちゃんはお母さんのおなかの中にいるときから、味覚・嗅覚刺激を受けていると考えられています。生まれてからは、お母さんの食事に含まれる味覚刺激物質が母乳に移行しますから、母乳を飲むことによりお母さんの食事の中の味覚刺激物質に曝されていることになります。つまり、子どもの味覚の発達には、お母さんの食事、つまり家族の食事の味と匂いが大きな影響を与える、ということです。
ニュースを見る限りでは、これらの味覚障害の原因が子どもたちの食生活の乱れにあるかのように扱われていましたが、自戒を込めて言わせていただければ、まず見直すべきはわれわれ大人の食生活ではないでしょうか。原因が明確になっているわけではありませんが、家族みんなの食事の内容を改善することから始めなければならないと思います。 (2014.10.21.)