院長です。先日のブログの続きで、「愛着:アタッチメント」についてお伝えしたいと思います。
哺乳類の子どもにとって、自然界の中で母親から長期間物理的に離れることは、ほとんどの場合、死を意味します。赤ちゃんが母親から離れないように、母親が自分から離れないようにする仕組みを持っていて、ボウルビィ(イギリスの児童精神科医)はこの仕組みについて、「アタッチメント」と呼びました。ボウルビィは、哺乳類の親子関係から発展させてヒトの母子関係における生物学的結びつきについて、最終的には情緒の結びつきに繋がっていくところまで発展させて、愛着(アタッチメント)の概念を説明しました。
前回の投稿でお伝えした「バースカンガルーケア」は、まさに哺乳類としての行動が、ヒトにおいてもみられる証拠であり、愛着形成の始まりでもあるのです。
愛着は基本的にヒトにおいては、子どもにとっての安心感・安全感のよりどころ、子どもが恐怖や不安・不快感を持ったときにそれを和らげてくれる関係性といえます。そして、これはそのまま大人になるまでつながっていきます。そのシステムが安定的に働くかどうかは、乳幼児期の経験が大きく影響すると言われています。くっついて安心感を取り戻したり、逆にそれができない経験を重ねたりすることによって、自分は守ってもらえる存在か、人は信頼できるかといった、自分と他者のとらえ方が決まっていきます。自他への信頼感は、心の発達に大きく影響するのです。
わたし自身の経験からも、愛着形成の上では、特に産後間もない時期のお母さんと赤ちゃんの過ごし方はとても大切だと考えています。そしてその時期の、お父さんの役割もまた、とても大切です。これについては、また後日このブログでお伝えしたいと思います。
(2023.12.30)