バースカンガルーケア

先日お伝えした産前・産後支援員養成講座でお話しした内容から、「バースカンガルーケア」に関することをお伝えしたいと思います。

バースカンガルーケアとは、生まれたばかりの赤ちゃんを裸のままお母さんのおなかの上にのせて、そのまま過ごしてもらうことを言います。以前は生まれたばかりの赤ちゃんは、清拭や計測のためにしばらくお母さんから離れ、服を着せられて、その後に抱っこしてもらうという施設がほとんどで、そのまま赤ちゃんをベビー室に預かる施設もありました。

バースカンガルーケアでは、皮膚接触中にお母さんの乳房間の温度が上昇します。これは、父親との接触では生じません。お母さんに抱っこされることで、赤ちゃんの不安は緩和され、泣くことが少なくなり、エネルギー消費が減少します。

生後の呼吸や循環などの適応過程がひと段落すると、breast crawlingと呼ばれるお母さんの腹部による赤ちゃんの足底への刺激に応じた歩行反射が発現し、生後50分ごろには70%以上の赤ちゃんが乳頭に吸着し吸啜し始めます。これらの刺激が、お母さんのオキシトシンというホルモンの分泌を促進します。これは母親の射乳を促し、赤ちゃんへの親密感を高める効果があります。翌日、同じことをすると、吸着まで数分で達成されることから、母子の授乳・哺乳行動をスムーズにするとされています。

わたしが初めて、この赤ちゃんの行動を映像で見たときに、とても大きな衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。同じような行動は、動物(哺乳類)でしか見たことが無く、ヒトも哺乳類であることを実感しました。お産にかかわるようになり、これまでに何度も実際に経験することができました。

このような時間を共に過ごすことで、お母さんは、わが子を確かめ、母親であることを確かめることができ、赤ちゃんにとってお母さんの胸は、安らげる場となります。お母さんと赤ちゃんの間の愛着形成の上で、とても大切な時間と考えられます。

長くなりましたので、今回はここまでとします。次回は「愛着(アタッチメント)」についてお伝えしたいと思います。

(2023.12.24)