院長です。
皆さんもご存知だと思いますが、昨日、以下のようなニュースがありました。
記事によれば、「ことし6月から先月にかけて宿泊施設で療養していた軽症や無症状の患者、40人余りを対象に、殺菌効果のあるポビドンヨードが含まれたうがい薬で、1日に4回、うがいをしてもらったところ、そのほかの患者よりも唾液の中のウイルスが減ったということです。具体的には、うがいをした患者は4日目に唾液のPCR検査の陽性率が9%ほどになったのに対し、うがいをしなかった患者は陽性率が40%だったということです。」とされています。
医療者の中でよく知られた研究として、「風邪を予防するために、どのようなうがいをすればよいか?」というものがあります。その研究の結論は、水のみでうがいをしたグループは、うがいをしないグループよりも風邪にかかる確率が下がったものの、ポビドンヨードでうがいをするグループでは効果が認められなかった、というものでした。ポビドンヨードには殺菌性があり、のどや口の中にもともといる『正常な細菌』までも無くしてしまうというデメリットがあり、また喉の粘膜を痛めてしまったことが影響したのだろうと考えられています。
今回の研究結果だけでは、それがポピドンヨードによる効果なのか、うがいそのものによる効果なのかがはっきりしていません。今後もこの研究は継続されていくようなので、全ての結果が出そろってから最終的な判断がなされるべきでしょう。
前回のエントリーでもお伝えしましたが、新型コロナウイルス感染症の特徴は、「感染した人の80%近くの人は、誰にも感染させていない。十数%は1人にしか感染させていない。ごく一部の数%の人だけが、例外的に非常に多くの人に感染させる。」というものです。感染した人が無症状のまま気が付かないうちに他の人に感染させている可能性を考えれば、うがいによって一時的に口腔内のウイルス量を減らすことで、飛沫感染を一時的に減らすことはできるのかもしれません。
既にポピドンヨードのうがい薬の買い占めや高額転売が始まってしまっているようですが、慌てる必要まったくはありません。ポピドンヨードのうがい薬の長期使用により、甲状腺機能を障害する可能性も指摘されています。現時点では、水のうがいで口の中を清潔に保つように普段から心がけよう、という理解で十分だと思います。 (2020.8.5.)