パルモア病院

院長です。 今日の報道によると、パルモア病院が民事再生法を申請したとのことです。
パルモア病院は、神戸市元町にある小児科・産婦人科病院で、日本で最初の周産期病院です。創設者は小児科医の三宅廉先生。私が大学生のころ、本(パルモア病院日記)やテレビ(NHK特集「誕生」)で取り上げられ、私も影響を受けた者の一人です。最近ではプロジェクトXでも取り上げられていたので、ご存知の方も多いかと思います。
三宅先生に出会うことがなければ、私が周産期医療の道に進むことは無かったと思います。もう15年くらい前になりますが、建て替えられたパルモア病院を訪れる機会に恵まれました。三宅先生はすでに引退されていましたが、病院全体から先生の存在が感じられ、圧倒された記憶があります。三宅先生の周産期医療に対する思いと、それがしっかりと次世代に受け継がれていることを感じました。今回このような状況になってしまったことにとても驚きましたが、診療は今後もそのまま継続されるようで少しホッとしています。
私は新生児医療に10年従事し、その後開業して11年が経過しました。時々思い出すことはあっても、普段の診療の中で三宅先生を意識することはほとんどありませんでした。しかしながら私の医者としてのこれまでの歩みを振り返ると、結果的にと言うか、ひょっとしたらずっと三宅先生を追い続けてきたのかもしれません。三宅先生の理想とした医療は、あくまでも私の理解の範囲ではありますが、今もなお実現されたわけではないと感じています。一生かかっても三宅先生に追いつくことは叶わないと思いますが、今後もこれまでと同じ歩みを続けていこうと、改めて強く思いました。