乳児アトピー性皮膚炎と食物アレルギー

院長です。今日は秋らしく涼しい一日でした。ちょっと風が強かったですね。 今日の午後、精華町の健康講演会で「乳児のアトピー性皮膚炎と食物アレルギー」という演題でお話しさせていただきました。ポイントは以下のようなものでした(ちょっと長いですが…)。

・乳児期の湿疹のうち約50%が、食物アレルギーが関与するアトピー性皮膚炎である。
・妊娠中や授乳中のお母さんの食物抗原除去は、児のアレルギー発症とは関連はない。
・離乳食の開始は、生後5~6か月ごろがよい。特定の食品の摂取時期を遅れさせる必要はない。
・食物アレルギーの関与する乳児のアトピー性皮膚炎では、正しい診断に基づく必要最小限の食品除去を早期に開始することが皮膚炎の早期の消失や軽快をもたらすばかりでなく、新たな食物抗原やダニなどの吸入抗原による感作の成立とアレルギーマーチの進展予防につながる。
・最近になり、経皮感作による食物アレルギーの存在が認められるようになった。
・皮膚のバリア障害を伴う湿疹部位からの食物アレルゲンの感作が、食物アレルギーとその後のアレルギーマーチの始まりと考えられる報告が増えている。アレルギーマーチを予防する観点から、乳児のアトピー性皮膚炎を予防することが大切である。
・経皮感作の予防には、皮膚バリア機能をよい状態に維持すること、湿疹ができたときには早期に修復することが重要。そのためには、生後早期から(まだ湿疹ができていない時から)のスキンケアの徹底が必要である。

なかなか難しいことなのですが、生後早期から「湿疹ができないように」スキンケアを行うことがとても重要なんです。それができれば、乳児のアトピー性皮膚炎の一部は予防できる可能性があるのです。スキンケアの基本は「きれいに、そしてしっとりと」です。沐浴の時には石鹸で全身を洗った後に、もう1回は軽く汚れをふき取った後に、赤ちゃん用のローションや乳液での保湿を行ってください。それでも湿疹ができてしまった時には、早期の対応が必要ですので受診していただきたいと思います。