ずっと気になっていること

院長です。今日は少し長文になりますが、お許しください。
 最近、生殖医療に関する話題に触れる機会が多くなっているように感じます。たとえば、以下のようなことが新聞やテレビで話題となっていました。
 ・「不妊治療の公費助成の見直し」について
 ・「将来の出産に備えて行う卵子の凍結保存」について
 ・「双子や三つ子の多胎妊娠の際に胎児の数を減らす減胎手術」について
今後も議論されるであろう、多くの課題が残されています。一方で以下のような記事もありました。

【保護新生児 8割施設へ…児童相談所「里親」15%のみ】
 未婚や貧困などで親が産んでも育てられないため、全国の児童相談所で2012年に保護した新生児650人のうち、8割超が乳児院に委託されていたことが、読売新聞の調査でわかった。厚生労働省は11年に、委託先は「施設より里親優先」との方針を打ち出したが、里親委託は15%にとどまり、「施設中心」の傾向が根強い状況が明らかになった。
 調査は7月、全国207の相談所を設置する都道府県・政令市など69自治体へ実施。12年度中に「生まれても養育できない」との相談が出生前後に寄せられた子や、遺棄され保護された新生児について尋ねた。その結果、保護された新生児は、遺棄児の21人を含め計650人に上った。このうち83%の541人が乳児院に委託されたのに対し、里親は15%の95人だった。里親に委託された子のうち特別養子縁組が前提だったのは56人で、全体の9%だけだった。
 新生児の特別養子縁組では、7自治体が年3~10人と積極的に取り組む一方、40自治体はゼロだった。進んでいない事情を複数回答で聞いたところ、「(成長後)病気や障害が見つかることが心配」が最も多く、「実親の同意を得るのが困難」「養親希望者がいない」が続いた。自由回答で「養子縁組は専門性が求められ、虐待対応の業務に忙殺される現状では難しい」との指摘もあった。一方、産んだ親が養育できない理由は、〈1〉親が未成年や未婚(222人)〈2〉親の病気や障害(205人)〈3〉経済的に困難(105人)――の順で多かった。
 保護した子の委託先は、先進国では里親が主流で、国連も08年、日本政府に「施設中心」を改善するよう勧告した。
 同省も、29年度までに「里親を3分の1に」との目標を定めており、「心身の発達に大切な新生児の時期から里親を検討することが必要」と、早期からの里親委託を自治体に要請。「乳児は特に家庭的養育が必要で、取り組みが遅れた自治体を後押ししていきたい」(同省家庭福祉課)としている。(8月25日、読売新聞)

 このような事柄について述べられるときにいつも感じるのは、「子どもの視点が欠けている」ということです。医療の進歩によって我々は多くのものを享受してきましたが、その一方で、大人の都合で(時には命まで)翻弄されている子どもたちがいることもまた厳然たる事実だと思います。「医療は人間を対象に、人間がやるものです。その最終目的は生命であり、科学ではない。」という私の尊敬する先生の言葉、ことあるごとに思い返しています。前に進むのも大事ですが、ここは少し立ち止まり、時間をかけて議論してもらいたいものです。