風邪にまつわるあれこれ

院長です。

年明けの「おはなし会」のテーマは、『風邪にまつわるあれこれ』です。

風邪は、「予後良好なウイルス性の疾患」と定義されています。つまり、自然に治る疾患です。わたしが医師になりたての頃は、風邪症状で受診されたお子さんに、抗菌薬(抗生物質)が当たり前のように処方されていました。抗菌薬はウイルス感染に効果がありませんから、当時は効果の無い薬を処方していたことになります。風邪の治療についての考え方は、この20年くらいの間に大きく変わりました。

風邪の原因となるウイルスは多数あり、感染の仕方や症状もさまざまで、治療は基本的に対症療法(症状を和らげるための治療)になり、特効薬はありません。新型コロナウイルスの流行時に、治療薬として抗菌薬が投与されなかったことや、症状の軽い方が診察無しで自宅療養を指示されていたことを思い出していただければ、理解していただけると思います。

一方で、発熱や鼻水・鼻づまり、咳などの症状は不快なものであり、薬を服用してでも早く治したいと思うのは当然のことですね。しかしこのような症状は、ウイルスから体を守るために起こるものあり、体の免疫がウイルスと戦った結果としての症状でもあります。症状や経過、診察所見から判断して、薬が必要かどうか、必要であればどのような薬が適切か、を判断して処方することになります。症状を和らげてくれるであろう薬を処方していますが、最終的には自然に治る(自身の免疫力でウイルスを排除する)のを待つことになります。

また、コロナ禍で感染対策が強化された際に、風邪症状で小児科を受診するお子さんが大きく減少したことやインフルエンザの流行が無くなったことを考えれば、適切な感染対策よってある程度風邪を予防することは可能だと思われます。

ここまで述べてきたような事を皆さんに詳しくお伝えする機会が普段からあればいいのですが、受診していただいた際などにその都度お話する時間がありません。「ウイルスとは何か」、「細菌との違いは」、「なぜ発熱するのか」、「なぜ鼻水や咳が出るのか」、「嘔吐や下痢がなぜ起きるのか」、こういったことからはじまって、わたしがどのようなことを考えて薬を処方しているのか、その薬の効果はどのようなものなのか、具体的な風邪の予防策は、そういったことまでをお話したいと考えています。もちろん、時間の許す限り皆さんからのご質問にお答えしたいと思います。

電話での予約受付になりますので、年明けの診療開始後からの受付になります。少し先になりますが、関心のある方は来月の予定の中のひとつに入れておいていただければと思います。

(2024.12.31)