小児の新型コロナワクチン接種に関する日本小児科学会の見解

院長です。

日本小児科学会は、昨日(11月2日)「生後 6 か月以上 5 歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を発表しました。

オミクロン株の流行以降、小児の患者数が増加し、同時に重症化する小児患者も増加しました。日本小児科学会は今年の8月に、「5~17歳のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨する」方針を提示しています。今回、生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種についても、メリット(発症予防)がデメリット(副反応等)を上回ると判断し、生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種を「推奨する」としました。

今年の9月に、国立感染症研究所から、2022年1月1日から8月31日までの日本での新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する疫学調査(第一報)が発表されています(新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査(第一報):2022年8月31日現在。以下に、その内容を要約します。

・症例数は、41例であった。
・7月中旬から、死亡例が増加していた。

・41例のうち、明らかな内因性死亡(外傷を除く疾病による死亡)は29例であった。

 

・29例中、半数(15例:52%)は、基礎疾患がなかった。
・29例中、半数(14例:48%)は、5歳未満であった。
・ワクチン接種対象年齢(5歳以上)の死亡例(15例)では、未接種が13例(87%)、2回接種が2例(13%)だった。
・ワクチン接種を受けて亡くなった2例はともに12歳以上だった。
・発症から死亡までの日数は、中央値4.5日(範囲:0‐15日)だった。73%が発症から7日以内に死亡していた。
・小児においては、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも注意を払う必要があると考えられた。

 

このような小児の死亡例の調査結果から考えても、今回の日本小児科学会の見解は、時宜を得た妥当なものだと思います。少し長くなりますが、小児科学会の見解もお読みいただいて、接種をご検討ください。不明な点がありましたら、遠慮なくお問い合わせください。

生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方

(2022.11.3)