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🌞子どもの熱中症:子どもは本当に「暑さに弱い」?

院長です。

こんなに暑い日が続くと、子どもの熱中症が心配になりますね。

「子どもは体温調節が未熟なので、大人より暑さに弱い」

このような説明を耳にしたことがある方も多いと思います。確かに、子どもと大人では、暑いときの体温調節の仕方が異なります。しかし、その違いをそのまま「子どもの体温調節能力は大人より劣っている」と考えるのは、少し正確ではありません。

近年の研究から、子どもは体温調節ができないのではなく、大人とは違う方法で体の熱を逃がしていることが分かってきました。今回は、大人と子どもの体温調節の違いについてお伝えします。

人の体が熱を逃がす二つの方法

私たちの体内では、じっとしているときにも熱がつくられています。運動すると筋肉が働くため、さらに多くの熱が発生します。

体温が上がりすぎないためには、この熱を体の外へ逃がさなければなりません。その方法は、大きく二つあります。

一つは、汗をかき、その汗が蒸発するときに体の熱を奪う方法です。汗をかくだけではなく、汗が皮膚の上で蒸発することによって、初めて体を冷やすことができます。

もう一つは、皮膚から周囲の空気へ直接熱を逃がす方法です。暑くなると皮膚の血管が広がり、体の中心部にある熱が血液によって皮膚の表面へ運ばれます。そこから周囲へ熱を逃がすことで、体温の上昇を防ぎます。

大人は、主に汗をかき、その蒸発を利用して体を冷やします。一方、子どもは大人ほど多くの汗をかかず、皮膚の表面から周囲へ直接熱を逃がす方法を、より多く利用しています。

たとえるなら、大人は汗の気化熱で冷やす「水冷式」、子どもは体の表面から熱を逃がす「空冷式」に近いといえるでしょう。

冷やし方は異なりますが、それだけで子どもの体温調節能力が低いとはいえません。

子どもの皮膚は「大きな放熱板」

子どもが皮膚から熱を逃がしやすい理由の一つに、体の大きさに対して皮膚の面積が広いことがあります。

子どもは大人と比べて、「体重当たりの体表面積」が大きいという特徴を持っています。簡単にいえば、体の中身の量に対して、外気に触れている皮膚の割合が大きいということです。

皮膚を、体内の熱を逃がす「放熱板」と考えてみましょう。子どもは体の大きさの割に、広い放熱板を持っていることになります。

さらに、暑いときには皮膚の血流を増やし、体内の熱を皮膚へ運びやすい特徴もあります。そのため、周囲の気温が皮膚の温度より低ければ、広い体表面を利用して効率よく熱を逃がすことができます。

以前は、「子どもは汗をかく量が少ないため、体温調節が下手である」と考えられていました。しかし、適切な水分補給ができ、無理のない環境で活動している場合には、成長した子どもの体温調節能力が、大人より明らかに劣るとはいえないことが分かってきました。

つまり、汗が少ないことは、必ずしも暑さへの弱さを意味しません。子どもは大人とは異なる仕組みを使って、体温を保っているのです。

極端な猛暑では、長所が弱点に変わることも

ただし、子どもの広い体表面が、いつでも体を冷やすために役立つわけではありません。

皮膚の温度は、おおむね33~35℃前後です。外気温が皮膚の温度より低ければ、体の熱は皮膚から外へ逃げていきます。

ところが、外気温が皮膚の温度を上回るような猛暑では、熱の流れが逆になります。皮膚から熱を逃がすのではなく、周囲の熱が体へ入り込んでくるのです。

通常の環境では「大きな放熱板」として役立っていた広い体表面が、極端な暑さの中では「周囲の熱を受け取る面」になってしまいます。

特に注意したいのが、直射日光の当たる場所、風の通らない場所、照り返しの強いアスファルトや校庭です。天気予報で発表される気温は、風通しのよい日陰で測定されています。実際に子どもが過ごしている場所では、日差しや地面からの照り返しによって、体が受ける熱がさらに大きくなることがあります。

また、子どもは身長が低いため、地面からの照り返しの影響を大人より強く受けることがあります。大人が「まだ大丈夫」と感じていても、子どものいる高さでは、より厳しい暑さになっているかもしれません。

仕組みを知って、子どもを守る

子どもは、単純に「大人より体温調節が下手」なのではありません。大人とは違う方法で体の熱を逃がしています。

しかし、その方法は周囲の環境によって、長所にも弱点にもなります。穏やかな暑さでは皮膚から熱を逃がせても、皮膚の温度を超える猛暑では、逆に環境から熱を受け取りやすくなります。

そのため、暑い日の外遊びでは、気温の数字だけで判断せず、日差し、湿度、風通し、地面からの照り返しにも目を向けることが大切です。

子どもの体の仕組みを正しく知ることは、単なる豆知識ではありません。「今日はどこで、どのくらい遊ばせるか」「いつ休ませるか」「外出を控えるべきか」を考えるための、具体的な手がかりになります。子どもの力を過小評価せず、同時に猛暑を決して侮らないことが、暑い夏を安全に過ごす上でとても大切なことだと思います。

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