院長です。今日は子育てに関することについて。
ヒトは進化の過程で頭が大きくなり、直立歩行により骨盤の構造が変化し産道が狭くなったため、ヒトの赤ちゃんはより未熟な時期に生まれてくる必要が出てきました(一説には、本来の妊娠期間は21カ月と言われています)。より長くお母さんのお腹の中にいて、生まれてすぐに自立的に活動できるくらいに成熟して生まれてくる他の哺乳類の赤ちゃんに比べると、ヒトの赤ちゃんは移動能力が乏しく、手厚く保護や世話をしてくれる養育者がいなければ生き延びていくことができません。また、未熟な割には分厚い皮下脂肪で覆われていて、体重がとても重いという特徴があります。例えば、ヒトの新生児の体重は、ゴリラの新生児のそれと比べて1.5倍以上にもなります。つまり、ゴリラは大きくてがっしりしたお母さんが、軽くてより成熟した赤ちゃんの世話をすればよく、一方ヒトは小さくてか細いお母さんが、重くてより未熟な赤ちゃんの世話をしなければならないということです。
このようにヒトにおいては、養育者側の子育ての負担が、他の哺乳類の場合に比べて圧倒的に重くなりました。したがって、それをお母さん一人でやりこなすことは困難であり、それをサポートしてくれる者としてのお父さんやおばあさんなどの存在がとても重要になったのです。
ただ…、個人的には国が推し進めている「イクメンプロジェクト」には、少なからず違和感を抱いています。このことについては、また次の機会に述べたいと思います。 (2014.5.24.)