ノロウイルス感染と手洗い

院長です。そろそろこのあたりもインフルエンザの流行期に入ってきましたが、先日起こった食中毒事件の影響もあり、ノロウイルス感染への関心の方が高まっているようです。
ご存知のようにノロウイルスは、嘔吐・下痢を主症状とする感染性胃腸炎の原因ウイルスの一つです。ヒトからヒトへの感染は、汚染物からのエアロゾルや乾燥した飛沫ウイルス粒子を吸入することで起こることもありますが、多くの場合ノロウイルス感染患者の吐物や便を処理する際に、手指などを介して他者へ経口感染することによって起こります。したがって感染予防の上では、汚染物を処理した後の手洗いが最も重要であり、一般的にも指摘されています。ただ報道などをみていると、私の知る限りではありますが、具体的な方法についての十分な情報提供がなされていないように感じています。
このような場合の手洗いは衛生的手洗いと言われるもので、正しい方法で(下図参照)かつ十分な時間(流水で洗い流す時間も含め45~60秒)をかけて行うことがとても重要なのです。その限りにおいては、普通の石けんでの手洗いでも十分です。あくまでも手に付着したウイルスを洗い流すことが目的です。ペーパータオルが自宅になければ、少なくともタオルの供用を避けるようにしてください。汚染物を処理する際には、使い捨ての手袋を使用することが望ましいのですが、処理後の手洗いの必要性は変わりありません。
以上のような対応はノロウイルス特有のものではなく、手指を介して起こる感染症に共通のものとして理解していただければと思います。