タミフル耐性インフルエンザウイルス

院長です。そろそろこのあたりでも、インフルエンザの流行が始まったようです。そんな中、インフルエンザ治療薬の「タミフル」が効かないインフルエンザウイルス(タミフル耐性インフルエンザウイルス)の検出が相次いでいるとの報道がありました。タミフル耐性インフルエンザウイルスは数年前から報告されていましたが、徐々に増えてきているのかもしれません。
ここで知っておいていただきたいのは、タミフルを含め抗インフルエンザ薬にはインフルエンザウイルスの数を減らす作用は無く、ウイルスの増殖を抑えそれ以上に数が増えないようにすることで体の持つ免疫能を手助けし、それにより治癒までの時間を短縮するという働きを持つものだということです。回復の主役は体自身であって、抗インフルエンザ薬ではないのです。
現状ではタミフル耐性かどうかの判断を診療の現場で行うのは不可能ですから、イナビルやリレンザなどの吸入するタイプの抗インフルエンザ薬の投与が難しい小さなお子様には、タミフルを投与することになります。効果が無ければ治癒するまでの時間が長くかかってしまいますが、基本的にいずれは体の持つ免疫力で回復するわけですから、必要以上に恐れることは無いと思います。そして、よく言われている予防策(手洗い、うがい、十分な睡眠、部屋の適度な暖房と加湿、など)を普段から十分に行っておくことで、少しでも感染の機会を減らすよう努めていただきたいと思います。(2014.1.16.)