オミクロン株の急激な感染拡大に備えて

院長です。

新型コロナウイルス、主としてオミクロン株による感染拡大が、予想通り急速に拡大してきていますね。これまでと同様、報道内容は様々で混乱されている方も多いかと思います。今回は、沖縄県のデータを参考に考えてみたいと思います。

沖縄県疫学統計・解析委員会による「沖縄県新型コロナウイルス感染症発生動向報告(1月11日)」からの引用です。解説で述べられている内容のポイントは、下記のようなものでした。分かりやすくするために、少し長めにその内容を引用します(わたしが重要と思う部分を太字にしています)。

  • 沖縄県における先週(1月3日ー9日)の新規陽性者数は、7,308 人(先々週 383 人)。
  • 感染者を年代別でみると、20 代が3,624人(50%)と最多であり、30代896人(12%)、10代859人(12%)と続く(図2)。活動性の高い20代に突出して陽性者が多く、40 歳未満が78%を占めている。70歳以上の高齢者は3%に過ぎない。
  • 入院患者数は、先週末(1月2日時点)で107人と1週間前の56人から倍増している。酸素投与など中等症患者についても46人と1週間前の28人より大きく増加している。ただし、気管挿管など重症患者は発生していない。
  • 今月以降、宮古・八重山医療圏で診断された新規陽性者714人について重症度を確認したところ、1月10日時点までに中等症Ⅰ(息切れ、肺炎所見あり)17 人、中等症Ⅱ(酸素投与、呼吸不全あり)7人のほかは無症候または軽症だった。人工呼吸管理を要する重症者は出ていない。年齢階級別では、40歳未満では酸素投与を要する症例はなく、80歳未満の9%が無症候または軽症だった。一方、80歳以上では13人と限られた範囲ではあるが、30.8%が酸素投与を要する状態となっている(図7)。
  • これまでになく若者層に陽性者が集中しているが、その背景には、沖縄県が検査を無料化したこともあると考えられる。若者層が検査を受けやすくなったため、過去の流行と比すれば若者の感染者の捕捉率が上がっている可能性がある。
  • 沖縄県における流行の主体はオミクロン株となっており、かつてない速度で感染拡大していることから、その感染力は極めて強いと考えられる。ただし、濃厚接触者の追跡によると、同居者や会食の場では感染が拡がりやすいものの、同じ部屋に滞在するだけで感染していることは少なく、従来のマスク着用や手指衛生は有効だと言える。
  • 県立宮古病院と県立八重山病院の限定的な臨床報告によれば、中等症以上となった80歳以上9人のうち、8人はワクチンを2回接種しており、1人は1回接種していた。また、60-79歳では中等症以上が7%だった。今後、高齢者へと感染拡大が進んだ場合には、医療ひっ迫となる可能性がある。
  • オミクロン株であっても、基本的な感染対策が有効である。すなわち、人が集まる場所では、マスクを着用してください。公共のモノに触れたときは、こまめにアルコールなどで手を消毒してください。一緒に食事をするのは、同居する家族やパートナーなど親しい人に留めてください。そして、発熱などの症状を認めるとき、仕事や学校を休み、外出を自粛することは極めて重要です。

近畿でも今日の時点で、新規感染者数が大幅に増加しています。沖縄県のこのようなデータを参考にすると、わたしたちが今、やるべきことが見えてくるのではないでしょう。昨日、京都府からの提言https://www.pref.kyoto.jp/kikikanri/news/corona_220112taiou.htmlが出されましたので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。  (2022.1.13)