RSウイルス感染が流行し始めています

院長です。報道などですでにご存じの方も多いと思いますが、全国的にRSウイルス感染症が流行しており、京都府内での報告も増えてきているようです。
RSウイルス感染症(respiratory syncytial virus infection)は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の児がRSウイルスに少なくとも1度は感染するとされています。通常RSウイルスに感染してから4~6日間の潜伏期間を経て発熱、咳や鼻みず、鼻づまりなどの症状が数日続きます。多くは軽症で済みますが、重くなる場合には、その後咳がひどくなったり、ゼイゼイと苦しそうな呼吸となり、細気管支炎、肺炎へと進展していきます。特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)に初めて感染した場合は、このように重症化することがあります。
RSウイルス感染症の感染経路は、咳やくしゃみ又は会話をした際に飛び散るしぶきを浴びて吸い込む飛沫感染や、ウイルスがついている手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップ等)を触ったり又はなめたりすることによる間接的な接触感染です。RSウイルスに感染発症する児の約80%は0歳児と1歳児です。RSウイルスに再感染した時には感冒様症状や気管支炎症状のみである場合が多いので、年長児や大人の場合、咳などの軽い症状のみでRSウイルス感染症であるとは気付かれてない場合があります。0歳児や1歳児に日常的に接する人は、RSウイルス感染症の流行時期はもちろんのこと、流行時期でなくても咳などの呼吸器症状がある場合は、飛沫感染対策としてマスクを着用して0歳児、1歳児に接することが大切です。接触感染対策としては、子どもたちが日常的に触れるおもちゃ、手すりなどはこまめにアルコールや塩素系の消毒剤等で消毒し、流水・石鹸による手洗いか又はアルコール製剤による手指衛生に努めてください。
RSウイルス感染症には特効薬はありません。治療は基本的には対症療法(症状を和らげる治療)を行います。自宅での対応としては、鼻がつまっているときには、綿棒でそうじをしたり、鼻みずを吸い取ってあげてください。乾燥しすぎないよう、部屋の加湿をしてあげてください。ゼイゼイ・ヒューヒューという呼吸音が強くなり、呼吸が苦しそうな場合や、顔色がよくない場合、母乳やミルクの飲みが悪い場合、そういった時には入院が必要となる場合もあります。これらの症状がみられるときには、早めに受診するようにしてください。