集団健診

院長です。
 
毎月2回、町の乳児健診で診察をさせてもらっています。先週は、9-10カ月健診がありました。早くも歩き出しそうな子もいれば、つかまり立ちもしようとしない子、発達や発育の歩みはさまざまで、それぞれに違います。生後1年もたっていないのですが、それぞれの個性がはっきり出始めていています。このように多くの赤ちゃんに出会えることが、集団健診での一番の楽しみです。ただ、時間内でできることには限界があり、もどかしいところでもあります。乳児健診を集団で行うことには利点もあり、こればかりはやむを得ないのですが…。
 
わが子の健診の時に、苦い経験があります。1歳半健診だったと思いますが、健診の場で絵本を見せての指さしができず、自宅では普通にできていると伝えても取り合ってもらえず、1か月後にもう一度来るように言われてしまいました。誰のための健診なのか、何のために健診を行っているのか…。それ以降、町の健診に行くことはありませんでした。
 
健診には、保健師さんや看護師さんをはじめ、多くの方々が関わってくれています。その中での医者の役割は、「今のままで十分、大丈夫ですよ」とお母さんを後押しし保証することであり、それは赤ちゃんの異常を見つけることと同じくらいに重要なことだと思っています。赤ちゃんそれぞれの歩みを、尊重しなければなりません。
 
健診の時に言われた「ひとこと」が、お母さんに不安を抱かせてしまう場合があります。そのような方と出会うたび、自らの健診での役割の重さを感じます。気になるところがあれば、その事実を伝えるだけでなく、十分な時間をかけて、これからどうすればいいのかを具体的にお話ししなければならないと思っています。    (2014.7.27.)