Child Death Review(CDR)について

院長です。

前回のエントリーで、「Child Death Review(CDR)」のシンポジウムに参加したことをお伝えしました。今回はこのCDRについてお伝えしたいと思います。

Child Death Review(CDR)は、「予防のためのこどもの死亡検証」といわれるもので、医療機関や行政をはじめとする複数の機関・専門家(医療,教育,保健,福祉,司法,警察など)が連携して、亡くなった子どもの事例を検証し、予防策を提言する取り組みです。その目的は、予防策を導き出すことで、未来の防ぎうるこどもの死亡を少しでも減らすことにあります。詳しいことは、子ども家庭庁のホームページをご覧ください(予防のためのこどもの死亡検証)。

今回のシンポジウムで議論されたことの中で、わたしのような開業小児科医が取り組むべき課題として心に残ったのは、「事故死の予防」「虐待死の予防」「自死の予防」でした。

「事故死の予防」については、実際に起こっている事故・事故死とその予防策について、小児科医としてどのような啓蒙活動が必要とされているかが示されました。「虐待死の予防」については、虐待やマルトリートメント(養育不全)による子どもの死亡について,予防可能な介入や支援のタイミングなど実際の取り組みが示されました。「自死の予防」については、小児科医による自殺防止セーフティネット構築へ向けての取り組みが示されました。

子どもの死亡事例に、開業小児科医が遭遇することはほとんどありません。しかし今回のシンポジウム全体を通してわかったのは、例えば虐待死や自死の場合などで、死亡に至る前に小児科外来を受診していることがあり、そこで子ども自身から、親から、何らかのサインが(振り返れば)だされていることがある、ということでした。そのタイミングでの小児科医の気づきと行動があれば、防ぎうる子どもの死がある、ということです。

普段のわたしの仕事には直接関係しないことかもしれない、と思いつつ、「虐待」「自死」というワードに関心を持ち参加したのですが、事故予防の啓蒙も合わせ、わたしにもできること、行う必要のあることがたくさんあるということが、よく理解できました。外来診察時だけではなく、診察外の時間においても、「防ぎえる子どもの死亡」の予防のために考え行動することを、これからの課題のひとつとして取り組んでいきたいと思います。

(2024.4.27)