先日のおはなし会:離乳食

院長です。週半ばの休日を、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

一昨日に、おはなし会をオンラインで開催しました。今回のテーマは「離乳食」でした。

離乳食に関して、国が保健医療従事者向けに出している指針は「授乳・離乳の支援ガイド」で、最新のものは2019年に改訂されています。その中で、離乳の支援に関する基本的な考え方として、以下のようなことが記載されています。

「離乳とは、成長に伴い、母乳又は育児用ミルク等の乳汁だけでは不足してくるエネルギーや栄養素を補完するために、乳汁から幼児食に移行する過程をいい、その時に与えられる食事を離乳食という。」

「離乳については、子どもの食欲、摂食行動、成長・発達パターン等、子どもにはそれぞれ個性があるので、画一的な進め方にならないよう留意しなければならない。また、地域の食文化、家庭の食習慣等を考慮した無理のない離乳の進め方、離乳食の内容や量を、それぞれの子どもの状況にあわせて進めていくことが重要である。」

「離乳期は食事や生活リズムが形づくられる時期でもあることから、生涯を通じた望ましい生活習慣の形成や生活習慣病予防の観点も踏まえて支援することが大切である。この時期から生活リズムを意識し、健康的な食習慣の基礎を培い、家族等と食卓を囲み、共に食事をとりながら食べる楽しさの体験を増やしていくことで、一人ひとりの子どもの「食べる力」を育むための支援が推進されることを基本とする。なお、離乳期は、両親や家族の食生活を見直す期間でもあるため、現状の食生活を踏まえて、適切な情報提供を行うことが必要である。」

ポイントをまとめると、以下のようになると思います。
・乳汁から食事へ移行する過程での食事
・乳汁だけでは不足する栄養素の補完ための食事
・個人差・地域の食文化・家庭の食習慣を考慮する
・生活習慣・食習慣の形成に寄与する
・家族と共に食事を摂り、食べることの楽しさを体験する
・両親や家族の食習慣を見直す機会でもある

離乳食に関する相談をときどきお受けするのですが、離乳食をすすめる上で、皆さんはどのような情報を参考にされているでしょうか。お母さん方から寄せられる「食べてくれない」「思うように進まない」などの悩みの原因の一部は、本や雑誌、インターネット上で提供されている情報にあるのではないかと、わたしは思っています。

ひとつの例として、「10倍粥」について述べたいと思います。じつはこの「10倍粥」という記載は、平成7年(1995年)に出された「改訂 離乳の基本」で既に無くなっています。「10倍粥」は100gあたり36キロカロリーしかなく、母乳や育児用ミルクの65キロカロリーよりはるかに少なく、栄養を補うという意味でも不十分であることは明らかです。そうであるにもかかわらず、今もなお「10倍粥を小さじ1から」としている情報がとても多いのです。

わたしは以前から、離乳食について以下のようなポイントをお伝えしています。
・家族で一緒に食べる:1日3回から始める
・食べる量は、赤ちゃんが決める
・家族の食事から取り分ける
・大人が「不味い」と感じるものは、赤ちゃんも食べない
・家族の食習慣を見直す機会

それぞれの項目について、少し説明が必要と思いますが長くなりましたので、次回のブログでお伝えしたいと思います。

(2023.3.20)