院長です。
しばらくブログの更新が滞っておりました。7月半ば以降、新型コロナウイルスの感染拡大に加え、RSウイルスやそのほかの夏風邪ウイルスの流行により、外来受診者数、検査数が大幅に増加し、外来業務に忙殺されていました。夏休みも中盤になり、少し受診者数が減少してきていますが、例年のことを考えると8月とは思えない状況に変わりはありません。
さて、昨日、日本小児科学会が「5~17歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」を明らかにし、健康な小児へのワクチン接種について、「意義がある」という表現から、「推奨します」という表現に変更しました。長文になりますが、ぜひ全文をお読みいただきたいと思います。
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20220810_5-17.pdf
この中で、わたしが特に重要だと思ったのは1ページの最後の部分、「小児をCOVID-19から守るためには、周囲の成人(養育者や小児に関わる業務従事者等)への新型コロナワクチン接種が重要です。周囲の成人が適切な回数(3回目または4回目)の新型コロナワクチン接種を受けることを推奨します。」というところです。
日本では、成人の80%以上の方が2回目の新型コロナワクチン接種を済ませていますが、3回目の接種率は未だに63.5%(8月10日現在)です。特に40歳代以下の世代の接種率が低くなっています。これまでのデータによれば、2回目までの接種では、接種から7か月後にはウイルスの働きを抑える中和抗体価が大きく減少することが分かっています。3回目を接種すると、2回目の接種のときに比べて大きく中和抗体価が上昇し、それが長期間持続します。特にオミクロン株に対する中和抗体価は、3回目を接種しなければ十分に上昇しないことが分かっています。
先日、オミクロン株対応ワクチンが、早ければ10月から接種できるようになるとの報道がありましたが、このワクチンが、従来のワクチン以上に大きな効果をもたらすかは、まだ不明確です。逆に、従来のワクチンであっても、3回目、4回目接種を行えば、オミクロン株に対しても十分な感染予防・重症化予防の効果が得られることが分かっています。
5~17歳への接種が推奨されるようになり、今後接種が進むものと思われますが、その前に、まず周囲の大人が、接種できる時期が来たらすみやかに(新しいワクチン接種開始を待たずに)、3回目、4回目の接種を済ませることが重要であろうと思います。 (2022.8.11.)