院長です。

新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が解除されて2か月。この間、新規感染者数はとても少ない状況が続いており、このまま年末年始を過ごせるといいなあ、と思っていたら、新たな変異ウイルスであるオミクロン株が検出され、その感染者が世界各国で発見されるようになっています。

オミクロン株に感染した人の報告例は若者が中心で、約半数が無症状、残りは軽症で、重症例の報告は今のところないようですが、感染者数が増えるにつれて高齢者の感染例や重症例が増えてくる可能性も考えられます。オミクロン株は、感染成立に関わるスパイク蛋白にも多くの変異があることや、ワクチンを2回または3回接種した人にも感染した人が出ていることから、ワクチンの効果を弱めるのではないかと懸念されています。この点についても今はまだ可能性の段階で、はっきりと分かったわけではないようです。

つまり、このオミクロン株、その性質については今のところ、まだ十分に分かっていないというのが実情です。

12月から3回目の新型コロナワクチン接種が始まりましたが、1回目や2回目の接種後の副反応がきつかったことなどを理由に、接種をどうしようか迷っている方もおられるのではないでしょうか。

新型コロナワクチンの接種後に、感染予防効果(感染することを防いでくれる効果)は時間と共に低下するといわれています。しかし2回目の接種が終わっていれば、重症化予防効果(感染したとしても重症化するのを防いでくれる効果)は保たれています。3回目を接種する目的は、感染予防効果を再度高めるためのものです。感染すると重症化しやすい高齢者や基礎疾患を持つ人をケアする医療従事者や介護従事者は、3回目の接種を積極的に受ける必要があると思います。一般の方の3回目の接種については、様々な情報を総合して、接種しないことも選択肢のひとつだろうと思います。

ここで子どもたちのことを考えてみます。11歳以下の子どもたちへのワクチン接種の開始までには、まだ時間がかかりそうです。開始されても、4歳以下の子どもたちへの接種は行われません。デルタ株の感染が拡がった第5波では、主としてワクチンを接種していない人の間で感染が拡がり、特に子どもたちの感染者数が増加しました。子どもの感染者のほとんどは軽症であるとはいえ、感染者数が増えれば重症化する子どもが出る可能性は大きくなります。米国では、子どもの死者も出ています。感染経路については、子どもの場合は多くが同居家族からの感染であり、半数近くが父親からの感染です。したがって子どもたちへの感染が拡がるのを防ぐには、周囲の大人のワクチン接種を含む感染予防が重要となります。

ワクチン接種に関して重要なことは、感染拡大を抑え重症者が増えることを防ぐために3回目の接種を進めるのと並行して、1回も接種を受けていない人や2回目を接種していない人に、可能な限り2回の接種を完了してもらうことと考えられます。

最後に、ワクチン接種だけで感染予防ができるわけではありません。今後も新型コロナウイルスの変異ウイルスは繰り返し出現すると思われますが、今回のオミクロン株に対しても、日常生活の中で私たちができる対策には変わりはありません。メディアの情報に惑わされることなく、マスクの着用・3密を避ける・手指衛生、これらの基本的な対策を今後も継続していきましょう。  (2021.12.5)