院長です。現在、大きな問題となっている新型コロナウイルス感染症ですが、そもそもコロナウイルスとはどのようなものなのでしょうか。以下、国立感染症研究所感染症疫学センターのホームページから、コロナウイルスに関する記述を一部引用させていただきます(https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc/2482-2020-01-10-06-50-40/9303-coronavirus.html)。
(以下、引用)
ヒトに感染するコロナウイルス
ヒトに蔓延している風邪のウイルス4種類と、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類。
1.風邪のコロナウイルス
・ヒトに日常的に感染するコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は4種類。
・風邪の10~15%(流行期35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とする。
・冬季に流行のピークが見られ、ほとんどの子どもは6歳までに感染を経験する。
・多くの感染者は軽症だが、高熱を引き起こすこともある。
2.重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)
・SARS-CoVは、コウモリのコロナウイルスがヒトに感染して重症肺炎を引き起こすようになったと考えられている。
・2002年に中国広東省で発生し、2002年11月から2003年7月の間に30を超える国や地域に拡大した。
・2003年12月時点のWHOの報告によると疑い例を含むSARS患者は8,069人、うち775人が重症の肺炎で死亡した(致命率9.6%)。
・ヒトらヒトへの伝播は市中において咳や飛沫を介して起こり、感染者の中には一人から十数人に感染を広げる「スーパースプレッダー」が見られた。
・死亡した人の多くは高齢者や、心臓病、糖尿病等の基礎疾患を前もって患っていた人であった。子どもには殆ど感染せず、感染した例では軽症の呼吸器症状を示すのみであった。
3.中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)
・MERS-CoVは、ヒトコブラクダに風邪症状を引き起こすウイルスであるが、種の壁を超えてヒトに感染すると重症肺炎を引き起こすと考えられている。
・最初のMERS-CoVの感染による患者は、2012年にサウジアラビアで発見された。これまでに27カ国で2,494人の感染者がWHOへ報告され(2019年11月30日時点)、そのうち858人が死亡した(致命率34.4%)。
・重症化した症例の多くが基礎疾患(糖尿病、慢性の心、肺、腎疾患など)を前もって患っていたことが解っている。
・15歳以下の感染者は全体の2%程度であるが、その多くは不顕性感染か軽症である。
・ヒトからヒトへの伝播も限定的ではあるが、病院内や家庭内において重症者からの飛沫を介して起こる。
コロナウイルスは、いわゆる風邪症状の原因とされているウイルスの一種です。SARSやMERSもコロナウイルスの一種ですから、私たちが普段の生活で行う基本的な感染対策は、同じと考えてよいと思います。次回は、感染対策についてお伝えしたいと思います。 (2020.1.29.)