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寝返りができるようになった赤ちゃんのうつぶせ寝、夜中に何度も仰向けに戻すべき?
院長です。
先日、赤ちゃんの「うつぶせ寝」について、お母さんからメールでご相談をいただきました。
とても大切なご質問で、同じように悩んでおられる親御さんも多いのではないかと思いました。
ご本人からご了承をいただきましたので、今回はご相談の内容を一般化して、赤ちゃんのうつぶせ寝についてお話ししたいと思います。
✱「夜中に何度もうつぶせになります」
ご相談は、このような内容でした。
赤ちゃんが寝返りをするようになり、夜寝ている間にも何度もうつぶせになるようになりました。
SIDS(乳幼児突然死症候群)が心配なので、気づくたびに仰向けに戻しています。
ところが、30分〜1時間ごとにうつぶせになることもあり、そのたびに仰向けに戻すと赤ちゃんが目を覚ましてしまいます。
「このままでは赤ちゃんも十分に眠れないし、親も眠れません。でも、うつぶせのまま寝かせておくのも心配です。どうしたらよいでしょうか?」
というご相談でした。
これは、寝返りができるようになった赤ちゃんのご家庭では、決して珍しい悩みではないと思います。
✱SIDS予防のため、「寝かせるときは仰向け」が基本です
まず、大切な原則があります。
赤ちゃんを寝かせるときは、仰向けに寝かせましょう。
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、それまで大きな異常の兆候がなかった赤ちゃんが、睡眠中に突然亡くなってしまう、原因が十分には解明されていない病気です。
SIDSは仰向けでもうつぶせでも起こりますが、研究では、仰向けに寝かせた方が発症率が低いことが分かっています。
そのため、こども家庭庁も、
「1歳になるまでは、寝かせる時はあおむけに寝かせましょう」
と勧めています。
これはSIDSのリスクを下げるだけでなく、睡眠中の窒息事故を防ぐうえでも大切です。
✱では、自分でうつぶせになったら?
ここで、多くの親御さんが迷われます。
「仰向けに寝かせても、すぐ自分でうつぶせになってしまうんです」
という問題です。
寝返りができるようになると、これは当然起こってきます。
大切なのは、
「最初からうつぶせに寝かせること」と「仰向けに寝かせた赤ちゃんが、自分の力でうつぶせになること」は分けて考える
ということです。
米国小児科学会(AAP)は、赤ちゃんが
仰向けからうつぶせ
だけでなく、
うつぶせから仰向け
にも自分の力で十分に寝返ることができるようになっていれば、睡眠中に自分でうつぶせになったとき、毎回仰向けに戻す必要はないとしています。
つまり、
寝かせ始めるときは仰向け。
でも、両方向への寝返りが十分にできる赤ちゃんが、自分でうつぶせになった場合には、そのたびに起こして仰向けに戻す必要はありません。
という考え方です。
✱ただし、「安全に眠れる環境」がとても大切です
「寝返りができるから、うつぶせで寝ても大丈夫」
という意味ではありません。
寝返りができるようになっても、SIDSや睡眠中の窒息などのリスクがなくなるわけではありません。
だからこそ、赤ちゃんが寝返りをするようになったら、睡眠環境をもう一度確認してみてください。
・硬めで平らな寝具を使う
・顔が寝具に沈み込まないようにする
・枕、タオル、ぬいぐるみなどを寝床に置かない
・1歳までは掛け布団ではなく、必要に応じて適切なスリーパーなどで温度を調整する
・スリーパーは顔にかぶらず、寝返りや腕の動きを妨げないものを使用する
・寝返りを固定するためのクッションなどを使わない
・そして、寝かせ始めるときは必ず仰向けにする
こうした環境を整えることが重要です。
また、「硬めだから大丈夫」と考えて大人用のベッドや敷布団を使うのではなく、できるだけ赤ちゃんのために安全性を考えて作られた寝床を使用しましょう。
✱センサーをつけていれば安心?
赤ちゃんの呼吸や動きを感知するセンサーを使用されているご家庭もあります。
センサーによって赤ちゃんの状態を確認しやすくなることはありますが、家庭用のモニターやセンサーを使用することでSIDSを予防できることが証明されているわけではありません。
センサーを使用するかどうかにかかわらず、まず大切なのは安全な睡眠環境を整えることです。
✱「赤ちゃんの安全」と同じように、「家族が眠れること」も大切です
今回ご相談いただいたお母さんは、赤ちゃんがうつぶせになるたびに起きて、30分〜1時間ごとに仰向けに戻しておられました。
「赤ちゃんの安全を守りたい」
というお気持ちからの行動です。
でも、それを毎晩続ければ、お母さんやお父さんはほとんど眠れなくなってしまいます。そして、仰向けに戻されるたびに目を覚ましてしまえば、赤ちゃん自身の睡眠も途切れてしまいます。
だから私は、
赤ちゃんの安全を守ることと、ご家族がきちんと眠れること、その両方を大切にしてほしい
と思っています。
両方向への寝返りが十分にできるようになったことを確認し、安全な睡眠環境を整えたうえであれば、自分でうつぶせになった赤ちゃんを夜中に何度も仰向けに戻し続ける必要はありません。
ただし、
・うつぶせになったときに自分で顔の向きを変えられない
・苦しそうにしている
・うつぶせから仰向けへの寝返りがまだ不安定
といった場合には、仰向けに戻してあげてください。
寝返りが十分にできているのか判断に迷う場合には、普段の寝返りの様子を動画に撮って、健診や診察の際に小児科医に見てもらうのもよい方法です。
✱最後に
赤ちゃんが昨日までできなかった寝返りを、ある日突然できるようになる。
嬉しい成長の一方で、それまでにはなかった心配も増えていきます。
「仰向けにしなければ」と聞けば、夜中にうつぶせになっている赤ちゃんを見て、不安になるのは当然だと思います。
大切なのは、
寝かせ始めるときは仰向けにすること。
そして、
自分で両方向に寝返りできるようになったら、安全な睡眠環境をしっかり整えること。
この二つを分けて考えていただくとよいと思います。
赤ちゃんの成長に合わせて、眠り方も少しずつ変わっていきます。
赤ちゃんも、ご家族も、安心してぐっすり眠れるように。
「これで大丈夫かな?」と迷うことがあれば、どうぞご相談ください。
参考:こども家庭庁『赤ちゃんが安全に眠れるように~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~』
(https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/kenkou/sids?utm_source=chatgpt.com)
American Academy of Pediatrics(AAP):Safe Sleep Recommendations
(https://www.healthychildren.org/English/ages-stages/baby/sleep/Pages/A-Parents-Guide-to-Safe-Sleep.aspx?utm_source=chatgpt.com)