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〚水ぼうそう再流行? ワクチンを受けていても感染することがある理由〛

院長です。

「水ぼうそう(みずぼうそう)は、最近あまり見かけなくなった病気」という印象をお持ちの保護者の方も多いのではないでしょうか。

実際に、水ぼうそうワクチンが2014年から定期接種となって以降、患者さんの数は大きく減少しました。小児科医として診療していても、水ぼうそうのお子さんを診る機会は以前に比べてかなり少なくなっています。

ところが最近になって、水ぼうそうの患者さんが増えています。

「ワクチンがあるのに、なぜ増えているの?」

そう疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。

実は、その背景には一つではなく、いくつもの要因が重なっていると考えられています。

ワクチンは今でもとても大切です

まずお伝えしたいのは、水ぼうそうワクチンの効果が弱くなったわけではありません。

定期接種が始まったことで、水ぼうそうの患者数は大幅に減り、重症化や入院も少なくなりました。これはワクチンがもたらした大きな成果です。

しかし、どのワクチンにも共通して言えることですが、「100%感染しない」わけではありません。

ワクチンを接種していても感染することがあり、これを「ブレイクスルー感染」と呼びます。

ただし、そのような場合でも、症状が軽く済むことが多く、重症化を防ぐ効果は十分に期待できます。

つまり、水ぼうそうワクチンは「感染を完全になくすワクチン」というよりも、「感染する可能性を減らし、もし感染しても軽く済ませるためのワクチン」と考えていただくと分かりやすいでしょう。

2回接種がとても大切です

日本では、水ぼうそうワクチンは2回接種が推奨されています。

1回目だけでも一定の効果がありますが、2回接種することで感染予防効果はさらに高まります。

ところが実際には、1回目は接種していても、2回目を受けていないお子さんが一定数います。

「1回受けたから大丈夫」と思ってしまったり、他の予防接種との兼ね合いで時期を逃してしまったりすることもあるようです。

母子健康手帳を一度確認し、2回目まで完了しているかを確認してみてください。

コロナ禍が残した「免疫ギャップ」

最近の流行を考えるうえで、もう一つ重要と考えられているのが、新型コロナウイルス流行の影響です。

コロナ禍では、マスクや手洗い、人との接触を減らす生活によって、多くの感染症が一時的にほとんど流行しなくなりました。

もちろん、当時は必要な感染対策でした。

しかしその結果、水ぼうそうを含め、本来であれば子どもの頃にウイルスと接触して自然に免疫を獲得していた人たちが、その機会を持たないまま成長した可能性があります。

この状態は「免疫ギャップ(免疫の空白)」と呼ばれています。

社会活動が元に戻り、人との接触が増えた現在、この免疫を持たない人たちの間で感染が広がりやすくなっていると考えられています。

年齢が少し高くなってきている可能性も

以前の水ぼうそうは、保育園や幼稚園に通う小さなお子さんに多い病気でした。

しかし最近では、小学生やそれ以上の年齢で感染する例も報告されています。

また、大人が感染すると、子どもより重症化しやすいことが知られています。

発熱が長引いたり、肺炎などの合併症を起こしたりすることもあるため、子どもの頃に免疫を獲得していない大人は注意が必要です。

帯状疱疹からうつることがあります

あまり知られていませんが、水ぼうそうと帯状疱疹は、どちらも同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」が原因です。

そのため、帯状疱疹になっている方の水ぶくれに含まれるウイルスが、水ぼうそうにかかったことがない人やワクチン未接種の人に感染すると、水ぼうそうを発症することがあります。

特に家庭内では接触する時間が長いため、お孫さんと祖父母が一緒に過ごす機会などでは注意が必要です。

帯状疱疹になった方は、水ぶくれを覆うなどの対策を行い、水ぼうそうに免疫のない小さなお子さんとの接触をできるだけ避けることが勧められます。

「水ぼうそう」と「手足口病」はどう違うの?

最近は手足口病も流行しているため、「水ぼうそうとの違いが分かりません」というご相談をよくいただきます。

見分けるポイントは次のようになります。

水ぼうそう

  • 顔や頭、おなか、背中など全身に広がりやすい
  • 赤い発疹、水ぶくれ、かさぶたが混ざって見られるのが特徴
  • 強いかゆみを伴うことが多い

手足口病

  • 手のひら、足の裏、口の中を中心に発疹が出る
  • おしりや膝に発疹が出ることもある
  • 水ぶくれは小さく、かゆみはあまり強くない
  • 口内炎の痛みで食事や水分が取りにくくなることがある

ただし、病気の初期には区別が難しいことも少なくありません。実際には手足口病でも体や顔に発疹が出ることがあり、水ぼうそうでも口の中に発疹が出ることがあるため、最終的な診断は診察が必要です。

保護者の皆さんへ

現在の水ぼうそうの再流行は、「ワクチンが効かなくなった」ということではありません。

ワクチン接種率、時間の経過による免疫の変化、コロナ禍による免疫ギャップ、そして帯状疱疹からの感染など、さまざまな要因が重なって起きている現象と考えられています。

私たちができることは、とてもシンプルです。

まずは、お子さんの水ぼうそうワクチンが2回とも接種できているか確認しましょう。

そして、水ぼうそうを疑う発疹が出た場合は、受診前に医療機関へ電話等で相談してください。水ぼうそうは感染力が非常に強いため、受診方法を調整することがあります。

ワクチンは「感染しないため」だけではなく、「重症化を防ぐため」の大切な手段です。

これからも正しい知識を持って、お子さんを感染症から守っていきましょう。

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