院長です。
クリニックのある精華町では、今月から、5歳から11歳の小児への新型コロナワクチン接種が始まります。それを前に、下記のようなニュースが流れ、ご欄になった方もおられるかと思います。
このニュースでは、2つの論文のデータが紹介されています。ひとつは、アメリカ・ニューヨーク州保険当局からの論文(論文A)、もうひとつは、アメリカCDC(疾病対策センター)からの論文(論文B)です。
この二つの論文には、いくつかの違いがあります。
- 論文Aは査読前(第三者による検証を受ける前の段階)のもの
- データをとっている期間に違いがあり、論文Aはほぼオミクロン株の流行に置き換わった昨年末以降のデータ、論文Bは昨年4月からのデータでデルタ株が流行していた時のものも含まれている
このような違いがあるので、単純に2つの論文を比較して論じることは難しいのですが、①ワクチン接種後の時間経過とともに感染予防効果が減弱すること②入院を予防する効果、すなわち重症化を予防する効果は認められていること、これら2点については、程度の差こそあれ同じ結論であると考えてよいと思います。
日本小児科学会の予防接種・感染症対策委員会からは、下記のような提言が出されています。
そして今日、日本外来小児科学会の予防接種・感染症対策委員会から学会員に向けての提言が出されました。ポイントは下記のとおりです。
- リスクとベネフィットを正しく伝えることが必要である。
- 小児期の新型コロナウイルス感染が軽症であることは明らかですが、子どもが感染した場合、保育所・園・学校の閉鎖・クラブ活動の自粛など社会活動が制限されること。パンデミックが続くことによる子どもへの情緒的影響が強いこと。家族の休業が求められることなど、感染に伴う社会的影響についても注意を払うべきです。
小児科学会からの提言にあるように、使用されるワクチンの、新しい変異ウイルス(オミクロン株など)への有効性を示すデータは十分には得られていません。しかし、現時点で得られている報告などから判断すると、少なくとも感染した時の重症化を予防する効果はあると考えてよく、わたしも接種する意義はあると思っています。
最初に紹介した2つの報告は、たくさんある報告のうちの一部に過ぎません。有用と思われるサイトを記しますので、そこにある情報も参考にして、可能な限り本人の意向も踏まえて考えていただきたいと思います。
不明な点は遠慮なく電話・メール(当院ホームページ右上のバナーより)でお問い合わせください。 (2022.3.3)