院長です。
少し時間が経ってからの報告になってしまったのですが、先週の日曜日2月28日に、京都市で行われた「バースハピネスを考える」というシンポジウムに参加してきました。「日本妊産婦支援協議会りんごの木」というお母さんたちのグループが主催されたもので、全国から多くの方々が参加されました。約150名が定員の会場は満席で、午前中から夕方にかけ長時間にわたり「幸せなお産とは、その実現のために大切なことは」ということをテーマとして、専門の先生方のご講演の後、活発な討議が行われました。 これだけの会を主催されたお母さんたちのパワー、本当にすごいです。そして、参加されていたのは助産師さんたちが中心だったのですが、集まった方々のお産に対する熱い思いを感じることができました。
皆さんの意見やシンポジストの先生方のお話など全体を通して感じたのは、幸せなお産の実現にはお母さんの一番近くに寄り添う助産師の役割が大きい、ということでした。そのお産が幸せなものだったかどうかは、お母さん自身が決める・感じるものなのだと思います。分娩台でのお産でも、畳の上で自由な姿勢でのお産でも、吸引分娩であっても、たとえ帝王切開であっても、お母さんが新たな命を産んだ・赤ちゃんが生まれた、ということに変わりはなく、それを「幸せ」だと感じるかどうかは、お産の場所や方法で決められるものではありません。何より周囲の人から「大切にされた」とお母さん自身が感じられるかどうかが重要で、そのためには助産師との信頼関係がもっとも大きく影響するのだと思います。
うちの施設は、小児科クリニックと、お産ができる助産院が一つになった施設です。助産院でのお産にはさまざまな条件が伴うので、全国的にみても助産院でお産をされる方は減少傾向です。そんな中で助産院を開設したのは、そこに本来の大切なお産の姿があると思ったからでした。助産院でのお産の特徴は、一人の助産師が妊娠中から産後まで継続してかかわるという点です。お産の場においても、お母さんを一人にすることなくずっと寄り添います。 今回のシンポジウムに参加して、改めて助産院をつくったことは間違いではなかったと感じました。多くの方に、ここでのお産を経験していただきたいと願っています。 (2016.3.7.)