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食物アレルギー:念のための除去の危険性

院長です。

 4月24日(金)に、今月のおはなし会を開催しました。

 今回は、食物アレルギーにおけるアレルギー検査についての考え方と、子どもの健康を守るための正しい向き合い方についてお話ししました。その内容をお伝えしたいと思います。

「検査結果」よりも「食べられている事実」が大切

 ご家族に食物アレルギーの方がおられる場合などに、「症状が出たことは無いけれど検査で一度確かめた方が良いのだろうか?」と考えたり、保育所や幼稚園、学校から「給食が始まる前に、念のためアレルギー検査を受けてきてください」と言われたりしたことはありませんか?

 血液によるアレルギー検査の中には、一度の採血で多項目を調べられる検査があり、最近では1滴の血液で41項目を調べられる検査もでてきました。

 まず知っておいていただきたいのは、最新のガイドラインでは、症状がない子に対して多項目の血液検査をすることは推奨されていないということです。なぜなら、血液検査の数値はあくまで「参考情報」の一つであり、それだけでアレルギーを診断することはできないからです。

 たとえば、毎日「卵」を食べていて何も症状が出ないのであれば、検査結果の数値がどうあれ、その子は問題無いと判断してかまいません。目の前で「食べられている事実」が最も重要なのです。

「感作(かんさ)」と「アレルギー」の違い

 検査で陽性が出たからといって、必ずしもアレルギーを発症しているとは限りません。ここで重要になるのが「感作」と「アレルギー」の違いです。

  • 感作: 体の中に、その物質と反応してアレルギー症状を引き起こす「特異的IgE抗体」という抗体が作られているものの、まだ症状は出ていない状態です。
  • アレルギー(発症状態): 実際に食べて、じんましんや嘔吐などの症状が出て初めて「アレルギー」と診断されます。

 血液検査で見ているのは、あくまでアレルギー症状が起こる上での「準備がどのくらいできているか」という量(数値)にすぎません。「感作=アレルギー」ではないのです。

 実際、無症状で検査を受けた場合、陽性と出た項目のうち、本当にアレルギーだったのはわずか「2.2%」という報告もあります。つまり、残りの97.8%は「食べても大丈夫なのに陽性と出た項目」である可能性が高いのです。

免疫の「見間違い」:交差反応

 さらに、免疫システムには「見間違い」をすることがあります。これを「交差反応」と呼びます。タンパク質の構造が似ていると、免疫が混同してしまうのです。

 例えば、ダニアレルギーの子がエビで陽性と出ることがあります。ダニとエビの体を構成している一部のタンパク質の構造がとても似ているために、このようなことが起こるのです。しかし、実際にはエビを平気で食べられる子がほとんどです。「陽性だから除去しなきゃ」と早合点せず、日頃の食生活の実績を振り返ることが大切です。

「念のための除去」の問題点

 「アレルギーかどうかわからないなら、念のため食べさせないほうが安全」と考えるかもしれません。しかし、実はその「念のための除去」こそが、リスクになることがあります。

  • 栄養の偏り: 不必要な除去は、お子さんの健全な発育を妨げることがあります。
  • 耐性の喪失: 食べるのをやめてしまうと、これまで育まれてきた「免疫の慣れ(免疫寛容)」が崩れ、かえってアレルギーを発症しやすくなることがあります。

 最新の研究では、食物アレルギーの「感作」は、荒れた皮膚(湿疹のある皮膚)から、周囲にある(たとえば床やソファなどにある)微小な食品成分が侵入することで引き起こされ、口から食べ腸から吸収されたものは免疫寛容(「食べても大丈夫」という安全のシグナル)を誘導することがわかっています。

 血液検査の結果だけを根拠にその食べ物を除去することは、免疫寛容を誘導できなくするので、かえってアレルギーを引き起こしてしまうことがあります。「食べ続けること」こそが、アレルギーを防ぐ(アレルギー反応の進行を抑える)鍵なのです。

まとめ

 アレルギー検査の結果は一つの目安にすぎません。 「陽性」という文字に振り回されず、「目の前で食べられている事実」を大切にしましょう。不必要な除去を避け、正しい知識を持って向き合うことが、お子さんの「食べる喜び」と「健やかな成長」を守ることにつながります。分からないことや不安なことがあれば、いつでも当クリニックにご相談ください。

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