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インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」について
院長です。
今年は早くもインフルエンザの流行期に入り、すでに罹ったお子さんもいらっしゃるのではないかと思います。今回は、インフルエンザの治療薬、ゾフルーザ(一般名:バロキサビル マルボキシル)についてお伝えしたいと思います。
ゾフルーザは、インフルエンザウイルスが増えるのを抑える新しいタイプのお薬です。この薬は、インフルエンザウイルスが体の中で増えるために必要な酵素の働きを止めることで、感染の広がりを抑えます。特徴は「1回飲むだけで治療が完了する」こと。2018年から使われていますが、今月から小児用の顆粒(20kg未満向け) も発売が始まり、より使いやすくなりました。そこで、今年の10月に日本小児科学会から発表された「2025/26 シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」と、11月に日本感染症学会から発表された「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬 バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザⓇ)の使⽤についての提⾔ 2025/26シーズンに向けて」を参考に、子供のゾフルーザの使用方法についてまとめました。
1.ゾフルーザとタミフルの効果の比較
これまでの研究では、タミフルと比較して、ゾフルーザには以下の効果が認められています。
- 発熱の期間を短くする
熱が下がるまでの時間が少し短くなることが確認されています。ただし、咳・鼻水・だるさなど「全体の症状が治るまでの期間」はタミフルと大きな差はない、という研究もあります。 - 合併症(中耳炎・肺炎など)が少ない傾向
- 副作用が少ない(吐き気・嘔吐など)
- B型インフルエンザに特に効果的
タミフルよりも発熱の期間が短い、という報告が複数あります。 - 家族内感染を減らす効果
ゾフルーザを使った家庭では、タミフルを使った家庭と比べて、家族にうつる割合が約4割減ったという報告があります。
2.耐性ウイルス(薬に強くなり、効きにくくなる変異を持つウイルス)について
ゾフルーザでは、治療中にウイルスが薬に反応しにくくなる「耐性変異(I38X変異など)」 が起こることがあります。これまでに分かっていることをまとめてみます。
- 変異ウイルスは主としてA型で検出され、一貫してB型インフルエンザウイルスの変異ウイルスは極めてまれとなっている。
- A型インフルエンザ(特にH3N2:香港型)に感染した5歳以下の子どもがゾフルーザを使うと、ゾフルーザが効きにくいウイルスが検出される頻度が高い。
ただし、最近の研究では、症状が長引くとは限らず、大きな問題にならないことが多いとされてます。 - これらの耐性株が地域に広がる明らかな証拠は今のところありません。
3.副作用について
ゾフルーザの副作用は比較的少なく、
- 多いもの
軽い下痢、吐き気、頭痛 - まれなもの
薬とは関係なく、インフルエンザそのものによる「異常行動」
(抗インフルエンザ薬の種類に関係なく起こりうるとされています)
4.ゾフルーザはどんな子に向いている?
1)おすすめできるケース
- 12歳以上のインフルエンザ(A型・B型を問わず推奨)
- 6~11歳の B型
- 1回で治療を終えたい子
「薬をとても嫌がる」→ 1回で確実に服用できるゾフルーザの方が実質的に良い治療になる場合もあります。 - 他の薬で吐き気が強い場合
- 家族内感染を防ぎたい場合
「赤ちゃん」「ぜんそくの兄弟」「高齢の祖父母」がいる場合、家庭内感染を減らすメリットを重視して選ぶこともあります。
2) 慎重に使うケース
- 5歳以下:タミフルが基本
- A型インフルエンザの6~11歳
- 耐性株の広がりが心配される地域
3)基本的に使わない
- 1歳未満の乳児
5.まとめ
インフルエンザの治療は、「年齢」「症状」「ウイルスの型」「重症化リスク」によって最適な薬が変わります。ゾフルーザはとても効果的な薬ですが、小さな子供では「変異ウイルス」が出やすいため慎重な判断が必要です。当院では、「家庭の事情」「服薬の確実性」も考慮して、その子にとって最適な薬を選ぶよう心がけています。ご不安な点があれば、いつでもご相談ください。