Blog

ブログ

精華町健康講演会でお話ししました:デジタルメディアと子供の育ち③

院長です。

 今回は、「インターネット・ゲーム依存」についてお伝えしたいと思います。

 インターネット・ゲーム依存とは、インターネットの利用やオンラインゲーム・ビデオゲームのプレイに過度に没頭し、日常生活に支障をきたしてしまう状態のことを指します。薬物の依存と同じように報酬に関わる脳の神経回路(報酬回路)が繰り返される快感刺激により変化し、前頭前野の働きが弱くなってしまった状態です。 アルコール依存等を始めとした「物質依存」の場合(インターネット・ゲーム依存は「行為依存」)は、アルコール等の物質が作用することで前頭前野の働きが低下していますが、インターネット・ゲーム依存の場合は、そうした物質がなくても脳の働きが低下してしまうところに特徴があり、ゲーム等への衝動を抑えることが出来なくなってしまいます。

前頭前野について

 前頭前野は、脳の前頭葉(ぜんとうよう)」の大部分を占めていて、意思決定、注意の持続、情動のコントロールなど、人間らしい高度な思考や感情のコントロールを担う非常に重要な領域です。この前頭前野の活動が低下すると、意識が集中できす、判断力が低下してしまいます。社会性、自己コントロール、コミュニケーション能力の多くは、前頭前野機能に由来します。衝動性を抑え、理性的にコントロールするのは、この前頭前野であり、「やってはいけないことはしない」「やりたいことを我慢する」といった理性や忍耐にも大きく関わっています。前頭前野の発達のスパートの時期は、幼児期(3~6歳)と思春期~青年期(11~20代前半)で、発達には時間がかかります。

線条体について

 報酬に関わる脳の神経回路(報酬回路)に関係しているのが線条体で、思春期に急激に発達します。線条体は脳の中心部にある大脳基底核の一部で、主に運動の調整、報酬、学習、習慣形成などに深く関わっています。インターネット・ゲーム依存において線条体は、「ゲームによって快感を感じる」→「またやりたいと渇望する」→「繰り返すことで報酬回路が過剰に刺激される」→「依存的行動が形成される」、というところに関与しています。

前頭前野と線条体の関係

 前頭前野と線条体は密接に連携しており、「考える脳(前頭前野)」と「感じて動く脳(線条体)」のバランスがとれている状態が、健康な心と行動の基本です。思春期の発達脳においては行動抑制系を司る前頭前野より、インターネット・ゲーム依存誘発に関連性の強い報酬系システムを含む線条体の方がより活発に発達します。衝動と欲求が強く、「すぐに気持ちいいこと」に惹かれる一方で、衝動を抑える力が不安定な時期なのです。理性が追いつかない時期と言えます。したがって、乳幼児期からの前頭前野の保護育成が無いと、行動抑制が成されずにインターネット・ゲーム依存リスクが高くなるのです。

「ゲーム障害」

2019年5月にWHO(世界保健機関)が「ゲーム障害」を新たな依存症として認定しました。以下のような状態が12か月以上続いている状態とされています。

  • (インターネット・)ゲームに関する行動(頻度、開始・終了時間、内容など)がコントロールできない。
  • (インターネット・)ゲーム優先の生活となり、それ以外の楽しみや日常行う責任のあることに使う時間が減る。
  • (インターネット・)ゲームにより個人、家族、社会、職業やそのほかの重要な機能分野において著しい問題を引き起こしているにもかかわらずゲームがやめられない。

インターネット・ゲーム障害になると、日常生活に様々な影響・問題が生じます。
  ・生活が乱れ、朝起きられない  ・昼夜逆転の生活になる  ・十分に食事を摂らない 
  ・使用を制限され暴力的になる  ・ゲームに高額な課金をしてしまう

 今回は、インターネット・ゲーム依存と、関連する脳の働きについてお伝えしました。次回がこの連載の最終回になります。

PageTop