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精華町健康講演会でお話ししました:デジタルメディアと子供の育ち④
院長です。
「デジタルメディアと子供の育ち」の連載最終回です。前回のブログの最後に、ゲーム障害について述べました。今回は、その続きから始めたいと思います。
一次性・二次性ゲーム障害
ゲーム障害には、一次性と二次性があるとされています。一次性ゲーム障害とは、ゲームそのものにのめり込み、過剰使用となって現実生活に影響を及ぼしている状態です。これに対して二次性ゲーム障害とは、現実世界で親子関係の不仲や経済的問題、対人関係など、さまざまな生きづらさをかかえて、それらの問題から逃避するためか、あるいは居場所としてゲームにのめり込む状態です。最近はこの二次性ゲーム障害が増えているようです。ゲーム障害に到る前に予防する方法はないのでしょうか。
親のデジタルメディアの使用と子供との関係
ここで、「令和6年度全国学力・学習状況調査」の結果の中から3点、お示しします。ひとつめは、保護者のSNS・動画視聴の時間と子供のSNS・動画視聴の時間との関係をみたものです。テレビゲームやSNS・動画視聴の保護者の使用時間が長いと、子供の使用時間も長くなっています。
保護者のSNS・動画視聴の時間と、子供のSNS・動画視聴の時間
ふたつめは、OECD(経済協力開発機構:ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関)が行っているPISAと呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査からのデータです。「家族による支援的な関わり」についての設問の答えの集計結果で、この調査に参加した35か国中、日本は最低評価になったというものです。
国際調査に見る「家族による支援的な関わり」
みっつめが、テレビゲームやSNS・動画視聴の時間の長さとウェルビーイング(普段の生活の中での幸福感や充実感など)との関係をみたものです。テレビゲームやSNS・動画視聴の時間の長い児童生徒の方が、ウェルビーイングの低い割合が大きいという結果となっています。
「テレビゲーム」「SNSや動画視聴」と「ウェルビーイング」の関係
このようにみてくると、次のように考えられると思います(あくまでも私見です)。
- 親のデジタルメディアの使い方が、子供の使い方にも影響している
- 親がデジタルメディアを使う時間が長くなると、子供と直接かかわる時間が奪われる
- 子供がデジタルメディアを使う時間が長くなり、親と直接かかわる時間が少なくなると、子供のウェルビーイングが低下する
- 子供のインターネット・ゲーム依存が増えているのだとしたら、このような家庭環境がその原因の一端なのかもしれない
インターネット・ゲーム依存の予防のために
子供のインターネット・ゲーム依存を予防するために、何ができるのかを考えてみました。これまでの研究で、インターネット・ゲームの使用を強制的に制限したり監視したりすることは、効果が限定的であることが分かっています。「スマホの利用制限」「断ネット」では解決しないのです。現在、推奨されているひとつの考え方が「ハームリダクション(harm:害 reduction:減らす)」という依存症治療の概念です。「必ずしもその使用量は減ることがなくとも、その使用により生じる健康・社会・経済上の悪影響を減少させることを主たる目的とする政策・プログラムとその実践。ある行動が原因となっている健康被害を、行動変容などにより予防または軽減させること」とされています。今日の情報社会においては、インターネット、デジタルメディアは日常生活において必要不可欠であるという認識のもと、節度ある使用のやり方を考えてみる、ということだと思います。たとえば「インターネットの利用は午後9時までにする」、「ゲームは土曜日・日曜日だけにする」というように、まずは子供が実行可能と思われる提案から始めることが勧められています。
まとめ
最後に、講演会でもお伝えした「まとめ」です。
- デジタルメディアの使用には、大きな利益と共にとても大きな不利益があります。
- 生後早期からの節度ある使用が非常に重要です。
2歳までの使用は避ける - 親のデジタルメディアの使用が、子供に大きく影響しています。
家族の大切な問題として、子供と一緒に考える - デジタルメディアの過剰な使用の背景にある問題(子供だけではなく、親が抱えている不安や悩み)にも目を向け、支援の手を差し伸べる。
教育機関・行政機関・医療機関との協力体制
最後までお読み下さり、ありがとうございました。