小児科、桑原です。
少し時間が経ってしまったのですが、6月と7月に、うちの助産院でお産がありました。たまたまお二人とも真夜中にお産が始まり、早朝に元気な赤ちゃんが生まれました。今回もお産に立ち会わせていただきましたが、何度経験してもお母さんと赤ちゃんに、畏敬の念を抱かずにはいられません。
毎日赤ちゃんをみさせていただくのですが、日ごとに少しずつ表情も、仕草も、変化していきます。生まれた瞬間からのこの時間を共有させていただけることは、小児科医としてこの上ない幸せです。そしてこの時期のお母さんも、妊娠の継続から育児へと意識も体も変化していきます。赤ちゃんとお母さんのこの変化が調和のとれたものであることが、その後の二人の歩みにも大きく影響しているのだろうと感じています。新たな家族を迎えて、幸せそうな表情で退院される姿に、安堵とともにこの仕事に就くことができている幸せを今回もまた強く感じました。
お産のほとんどが病院やクリニックで行われている現状では、命の安全が最優先とされ、産後の入院期間はより短くなる傾向にあります。病院、クリニックでの勤務を通して感じているのは、お産が医療の進歩の恩恵を受けてきた一方で、失われてきたものもたくさんあるということです。それらと、産後のマタニティブルーズやうつ、育児不安が増えていることとは、無関係ではありません。
地域の助産院として、お産だけではなく産後の親子への支援もまた、大きな役割の一つであると思います。小児科医として、当院の特色を活かして助産師と協力しつつ、これからも支援を続けていきたいと思っています。 (2021.8.9)