桑原です。昨日の新聞に、以下のような記事が掲載されていました。
〈富士山頂(3776メートル)で8月、大気1立方メートルあたり2・8ナノ・グラム(ナノは10億分の1)の水銀濃度が測定され、全国平均を上回っていることが、滋賀県立大の永淵修教授(環境科学)らの調査でわかった。2007年は最高の25・1ナノ・グラムを測定。中国大陸からの越境汚染とみられる。環境省は、来年から米国やベトナムなどと共同でアジア太平洋地域で定点観測事業を始める。〉 (読売新聞、10月3日)
「中国大陸からの越境汚染」ということで、ふと思い出したのが「PM2.5」のこと。最近になり報道される機会が減りましたが、今年の前半の大きな話題でした。この時も中国大陸からの越境汚染が問題となっていました。各自治体で大気中のPM2.5濃度を測定し、国が定めた暫定基準(1日平均70μg/㎥)を上回る場合には、住民に外出や屋外の運動を控えるよう呼びかけることとなりました。外出の際に気にされた方も多いかと思いますが、実は我々の周りには、北京市に匹敵するような高濃度のPM2.5が存在する環境があるのです。それは「喫煙」によってつくりだされます。そう、受動喫煙の問題です。例えば、主な商業施設内でのPM2.5の濃度は以下のようになります。
全面禁煙のコーヒー店 25μg/㎥以下
完全分煙のファーストフード店の禁煙席 50μg/㎥
パチンコ店 200μg/㎥
完全分煙のファーストフード店の喫煙席 300μg/㎥
不完全分煙の居酒屋 禁煙席 430μg/㎥
不完全分煙の居酒屋 喫煙席 630μg/㎥
自由喫煙の居酒屋 700μg/㎥
タクシー内喫煙 1600μg/㎥
国は元々、健康に影響が及ばないPM2.5濃度として、1日平均35μg/㎥以下という環境基本法に基づく基準値を定めています。これらの値がいかに高いか、一目瞭然ですね。JTは盛んに分煙環境の構築を推し進めようとしていますが、それがいかに意味のないものかわかっていただけるのではないでしょうか。中国に改善を呼びかける以上に重要な問題が、私たちの身近にあることを知っていただきたいと思います。
(詳しくは「PM2.5問題に関する日本禁煙学会の見解と提言」をお読みください。)