お母さんと赤ちゃんの共同作業

桑原です。今日は母乳分泌に関することについて。

母乳はお母さんの血液から作られます。母乳が作られ分泌されるためには、二つのホルモンの働きが必要です。
一つ目がプロラクチン。母乳を作る働きをするホルモンです。赤ちゃんがおっぱいを吸うことで乳頭が刺激されることによりお母さんの脳下垂体から分泌され、乳腺細胞を刺激することで母乳が作られます。作られた母乳は球状の乳腺腔内に溜まります。ここまでがプロラクチンの働きです。
二つ目がオキシトシン。母乳を送り出すホルモンです。プロラクチンと同様、赤ちゃんがおっぱいを吸うことで乳頭が刺激されることによりお母さんの脳下垂体から分泌され、乳腺を収縮させることにより母乳を乳管に送り出し、射乳を起こします。こうやって母乳は乳頭からあふれ出ることになり、それを赤ちゃんが飲みとる、ということになります。
この二つのホルモンは、赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸うという刺激により分泌されます。「母乳を出すのは赤ちゃんの仕事」でもあるのです。特に生まれて間もない時期には、赤ちゃんが母乳をほしがる様子に合わせ頻回授乳(乳頭刺激)を行うことにより、プロラクチンとオキシトシンの分泌量が増え、数日間かけ母乳が出てくるようになるのです。そしてもう一点、とても大切なことがあります。それは授乳時の姿勢です。適切な姿勢で授乳をする(乳頭の奥の方までしっかりくわえさせる)ことが重要で、間違った姿勢で授乳をすると、オキシトシンの分泌が十分でなくなり射乳がみられず、母乳が作り出されていても飲みとれていない、ということが起こります。また、乳頭に傷が入ってしまうなどのトラブルの原因にもなります。授乳中に乳頭の痛みが続く場合や、十分に飲みとれていないような感覚がある時には、早めにご相談ください。