スワドルと発育性股関節形成不全

院長です。

皆さんは、「スワドル」というものをご存じでしょうか。赤ちゃんの“おくるみ”のことで、生後早期から使うことができ、出産祝いに贈られることもあるようです。インターネットで検索すると、多くの会社からさまざまな商品が出されています。恥ずかしながら、このような状況を私は、今日まで知りませんでした。

どの商品にもほぼ共通しているキャッチフレーズは、「モロー反射を抑えることで赤ちゃんが目を覚まして泣き出すことを抑える」というものです。

今日、あるメーカーの商品の問題点について、整形外科の先生がSNSに投稿されているのを見ました。その問題点とは、『脚の動きを制限する衣類には、股関節が外れて育つ「発育性股関節形成不全」のリスクがある』ということです。

発育性股関節形成不全とは、以前は先天性股関節脱臼と呼ばれていた疾患です。実は、生まれた時に股関節が脱臼している例は少なく、脱臼準備状態から、生まれてからの要因によって著しく影響を受け、脱臼へ増悪する疾患なのです。 生まれてから脱臼になりやすい要因のひとつに、「脚を伸ばして動きを妨げる衣服や抱き方」があり、スワドルを使用している赤ちゃんの写真を見る限り、まさにこの姿勢になっているのです。

この病気になると、何度も手術が必要になる場合があります。下記の資料をお読みいただき、使用されている場合には、すぐにお止めになることをお勧めします。

赤ちゃんが股関節脱臼にならないように注意しましょう

先天性股関節脱臼予防と早期発見の手引き

(2022.11.6)