院長です。
今年の4月下旬から、当院でも新型コロナウイルス感染症の診断のために、PCR検査を行うようになりました。精華町での新規感染者数がピークを越えて、徐々に減少傾向に入ってきたころになります。
当初は、感染者との接触歴のあるなしにかかわらず発熱で受診されたすべてのお子さんに協力をお願いし、検査を行っていました。感染経路不明の場合がどのくらい含まれるのか、わからなかったからです。結果は、10歳未満のお子さんについては、接触歴やその疑いが無い場合は、PCR検査陽性となる例は、ゼロでした。
これまでの国内のデータでも、普段の行動範囲が限られる10歳未満のお子さんの場合は、そのほとんどが親が感染した場合の家庭内感染でした。今年前半の第6波においては、ワクチン接種が進んでいない子どもたちが家庭内で感染し、それが保育所などに持ち込まれ子どもから子どもへ感染する例が増加しましたが、一定程度感染状況が収束している現在では、10歳未満の子どもが感染するのはほとんどの場合家庭内と考えてよいということが、当院での検査結果からも明らかだといえます。
もうひとつ、オミクロン株となり感染してから発症するまでの時間が短くなっており(2~3日)、当院の検査結果からもそれは明らかだといえます。ほとんどの方が、感染者との接触から2日以内に発症しています。したがって、たとえば保育所や幼稚園で感染した子が認められた場合、その子が最後に登園した日から4日以上経過して別のお子さんが発症する可能性は小さいと考えられます。
PCR検査の精度は上がっていますが、それでも100%とは言い切れません。医学的観点から感染している可能性が低いと思われる人にまで検査を行ってしまうと、偽陽性(実際は感染していないのに検査では陽性となってしまう)の確率が大きくなってしまいます。以上のような経験も踏まえて、現在では、発熱しているすべてのお子さんにPCR検査を行うのではなく、周囲の状況から考えて感染している可能性が大きい場合に、PCR検査を行うようにしています。 (2022.6.25)