病床使用率

院長です。
京都府においても新型コロナウイルスの感染拡大の勢いは、そろそろピークを越えた、という感じになってきました。気になるのは、10歳未満の感染者数が急増していること。感染経路に関するデータが示されていないのでわかりませんが、オミクロン株になり、家庭内での感染に加えて、学校・幼稚園・保育園での感染例の増加が影響していると思われます。そして、高齢者の感染者数も増えています。高齢者施設での感染例が増加していることが大きく影響しているものと思われ、60歳以上の入院数が増加しています。2月19日時点での京都府の病床使用率は70.9%(641/904床)まで上昇しています。〔2月1日の病床使用率は56.8%(495/872床)〕
この病床使用率ですが、「新型コロナウイルスに感染した患者のために確保した病床がどれだけ埋まっているかの割合」を示しています。この分母の病床数は、現在使うことができるコロナ病床(即応病床)と、感染拡大時に一般病床からコロナ病床に変えられる病床(確保病床)を加えた数になります。多くの場合、確保病床には今現在も、新型コロナ以外の疾患で入院している患者さんが居る、ということなのです。新型コロナによる病床使用率が上昇しているということは、そのほかの疾患の方が入院するための一般病床が減ってしまっている、ということになります。したがって、「まだ30%くらいの余裕がある」ということではなく、上記の904床は常に満床状態、と考えておかなければならないということです。
オミクロン株になり感染者数が増加しているものの軽症の方が多いことなどから、国や自治体の施策に対して様々な考えが出てきていることは承知していますが、最前線で診療に当たられている医療従事者の方々の実感は、それとはまた違うのだろうと思います。新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから3度目の春を前に「いつまでこんなことを続けないといけないの?」という気持ちになるのは無理もありませんが、3回目のワクチン接種が進まない中、私たちにできることは、引き続き基本的な感染対策を油断なく継続することだと思います。 (2022.2.20)