院長です。
今回も、新型コロナウイルスに関する話題について。
先日(2月4日)、厚生労働大臣が閣議後の会見で、2歳以上の子どものマスク着用を前向きに進めるべきという認識を示されました。この発言に戸惑われた方も多かったことと思います。医療関係者からも、SNS上などで反対の声があがりました。
日本小児科学会は、『乳幼児のマスク着用の考え方』の中で、「乳幼児のマスク着用には危険があります。特に2歳未満の子どもでは、気をつけましょう。」としています。
http://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=117
現在のいわゆる第6波では、子どもたちの感染例が非常に多くなっており、小学校や幼稚園、保育所でのクラスター例の報告が増えています。そのようなことから、全国知事会会長の平井鳥取県知事からの提案があり、それを受けての厚生労働大臣の発言だったようです。最終的には、同日に行われた新型コロナウイルス感染症対策分科会において、「発育状況等からマスクの着用が無理なく可能と判断される児童については可能な範囲でマスク着用を推奨すること。その上で、それぞれの児童について、息苦しくないかどうかを十分注意し、十分な時間を確保しながら、可能と考えられる場合には、正しいマスクの着用ができるよう助言や配慮を行うほか、本人の調子が悪い場合や、持続的にマスクを適切に着用することが難しい場合は、無理して着用させる必要はないとの運用を行うこと。なお、2歳未満児では、息苦しさや体調不良を訴えることや自分でマスクを外すことが困難であることから、窒息や熱中症のリスクが高まるため、マスクの着用は推奨されない」となりました。要するに、小児科学会の考え方に準じたものに落ち着いたようです。
マスクの着用が、新型コロナウイルスに対する感染対策として有効であることは、最近の研究でも明らかです。ただ、乳幼児については、正しく着用し続けられるかということもあり、一律に着用させることは避けるべきであり、それぞれの子どもの発達段階に応じて考慮する、ということで十分だろうと思います。子どもたちへの感染は、今もなお家庭内で起こっている例が多いことを考えれば、周りの大人の、ワクチン接種と基本的な感染対策の徹底が重要であることに変わりはありません。 (2022.2.6)