新型コロナワクチン個別接種、そして心筋炎・心膜炎

院長です。

今日の午前診の最初の30分間に、当院での新型コロナワクチン個別接種を行いました。今日が初めての接種でしたので、職員も私も少し緊張しましたが、ご予約くださった皆さんが予約時刻通りに来院してくださり、滞りなく接種を終えることができました。幸い副反応を発症された方はなく、胸をなでおろしました。
通常の診察を9時45分からに変更していたため、診察を希望して受診してくださる方にはご不便をおかけして申し訳ありませんでした。来年2月ころまでこの個別接種は続きます。来週以降もしばしば、同様の診察時間の変更をお願いすることとなります。事前にホームページやメールでお知らせしますので、ご理解くださいますようお願いいたします。

さて、新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎が話題になっていますが、実際のところどのような状況なのか、お伝えしたいと思います。

心筋炎とは、心臓の筋肉に炎症が起こり、心臓の収縮力が低下したり不整脈を起こしたりする病気です。心膜炎とは、心臓を包み込んでいる膜に炎症が起こる病気です。頻度としてはごく稀ですが、新型コロナワクチンの接種後に、心筋炎や心膜炎を疑う事例が報告されています。特に、1回目よりも2回目のワクチン接種後に、高齢者よりも思春期や若年成人に、女性よりも男性に、より多くの事例が報告されています。接種後1週間以内に発症することが多く、典型的な症状として胸の痛みや息切れなどがあります。特に若年の男性は、こうした症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診するようにしてください。

国内で新型コロナワクチン接種後に副反応を疑う事例として報告された心筋炎や心膜炎の状況を解析した結果、ファイザー社のワクチンでは20代男性の報告頻度が他の年代に比べて高く、武田/モデルナ社のワクチンでは10代及び20代男性の報告頻度が高いという傾向が確認されました。特に、10代及び20代男性では、ファイザー社よりも武田/モデルナ社のワクチンにおける報告頻度の方が高いことも確認されました。そこで厚生労働省は、10代及び20代の男性については、1回目に武田/モデルナ社のワクチンを接種していたとしても、2回目としてファイザー社のワクチンを接種できることとしました(なお、本人が希望する場合は、引き続き、武田/モデルナ社のワクチン接種も可能です)。

しかし、実際に新型コロナウイルスに感染した場合にも、心筋炎・心膜炎になることがあり、その頻度は新型コロナワクチン接種後に起こる頻度に比べずっと高く(日本国内の15〜39歳で100万人当たり834人)、現時点においてはどちらのワクチンも、接種によるメリットがデメリットを大きく上回っています。10代のお子さんを含む若い方々も、引き続き新型コロナワクチン接種をご検討ください。

新型コロナワクチンQ&A
新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について

(2021.10.16)