今シーズンのインフルエンザワクチン供給量について

院長です。

皆さんの中には、報道等で「今冬のインフルエンザシーズンのワクチン供給量が昨年に比べ大幅に減る」という情報に接している方がおられると思います。私も、卸売販売業者から同様の情報を得ています。

実際にデータを調べてみると、昨年は、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に対処する必要性から、インフルエンザワクチンの供給が例年よりもかなり速いペースで進み、10月第5週の時点で供給量全体の90%程度のワクチンが出荷済みでした。今年は、各種ワクチンの製造資材不足が続いており、10月第5週の時点では出荷見込み量全体の65%程度の出荷量にとどまるようで、「インフルエンザワクチンの供給量が減る」という情報は、このような昨年との違いから来ているようです。一方で今年は、11月から12月中旬頃まで継続的にワクチンが供給されるので、最終的には例年並みの供給量になる見込みだということで、ワクチン不足に陥ることはなさそうです。(下記のグラフは、今年の9月1日に開かれた「第26回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」で示された資料より引用しています。)

 

新型コロナウイルスの流行が始まって以降、多くの子どもの感染症の流行が抑えられており、昨シーズンのインフルエンザの患者数も格段に減少しました。今年も、現時点での報告数は例年に比較すると大幅に減少しており、インフルエンザの流行はみられないのかもしれません。

インフルエンザ同様、昨年流行がみられなかったRSウイルスが、今年は流行しました。昨年RSウイルスの流行が抑えられたため、同時期にウイルスにさらされていなかった乳児が罹患するリスクが高まったことが原因とされています。インフルエンザが最後に流行したのは昨年2月なので、それ以降に出生した子どもはインフルエンザに対する抗体をほぼ持っていません。RSウイルスと同じようなことがインフルエンザについても起こるリスクはあり、それに対する備えは行っておく必要があると思います。

当院では、インフルエンザワクチンの供給量の関係から、接種の開始が例年に比べて少し遅くなりました。インフルエンザワクチンの供給量は、昨年よりは少なくなるものの全体として例年と大きくは変わらない量の供給が見込まれており、最終的には接種を希望される皆さんに行き渡るものと思われますので、焦ることなく順番を待っていただければと思います。

(2021.10.2)