院長です。子どもの生活習慣病について、今回は胎児期の要因について触れたいと思います。
胎児期の栄養環境が悪くなってしまった場合、お腹の中の赤ちゃんは、供給された栄養をしっかり体に蓄える方向に適応します。それは遺伝子の働きのレベルでの適応で、出生後もそのような環境が続くものとして変化します。
近年20~30歳代の妊娠可能な年齢の女性では、やせ願望に伴う過度なダイエットが問題となっています。明らかに摂取エネルギーが少ないのです。やせた状態での妊娠は、既に母体が低栄養状態になっていることから、子宮内栄養環境の悪化が生じている可能性が高く、それは胎児に上記のような影響を及ぼすことになります。
このような劣悪な胎児環境が出生後も続くものとして生まれてきた赤ちゃんは、予想に反して良好な栄養の供給をされることが多く、結果的に肥満症になるリスクが大きくなり、それは生活習慣病につながります。このような遺伝子レベルでの変化は、次の世代にまで引き継がれるとされています。
おなかの赤ちゃんの成長は、妊娠中あるいは妊娠前からのお母さんの栄養状態の影響を受けています。過度のダイエットは次世代にまで影響を及ぼす可能性があることを、心にとめておいていただきたいと思います。 (2018.7.15.)