新型コロナワクチンの接種が始まり、副反応としてのアナフィラキシーの報告例についての報道を目にされた方も多いことと思います。

アナフィラキシーとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」とされ、「アナフィラキシーに血圧低下や意識障害を伴う場合」を、アナフィラキシーショックと診断します。日本アレルギー学会による「アナフィラキシーガイドライン」では、以下のようにアナフィラキシーの診断基準が示されています。

 

診断基準:以下の3項目のうちいずれかに該当すればアナフィラキシーと診断する。

 

国内では3月11日までに、37件の「アナフィラキシー」の報告がありました。これは、接種10万人当たり20.4人に相当するもので、単純にアメリカやイギリスでの頻度と比較すると10〜20倍以上アナフィラキシーが多いことになります。

なぜ日本ではこんなにアナフィラキシーの報告が多いのでしょうか? アメリカやイギリスでは「ブライトン分類」と呼ばれる国際的な評価指標に基づいて、それに該当するものがアナフィラキシーとして報告されていますが、日本では、そのような基準を満たしているかどうかは問われておらず、医療機関が「新型コロナワクチン接種に関連したアナフィラキシー」と判断したものが、「副反応疑い報告」として報告されているのです。厚生労働省の専門家部会は、3月9日までに国内でアナフィラキシーとして報告された17件について「ブライトン分類」に基づいて分析した結果、アナフィラキシーに該当したのはおよそ4割の7件だったと発表しています。このように、日本のデータとアメリカやイギリスのデータとを単純に比較することはできないのです

とは言え、それでもまだ日本のアナフィラキシーの報告数は多いことになるのですが、その原因は今のところはっきりしていません。報告の基準以外にも、対象が今のところ医療従事者だけであることが関係しているのではないかともいわれています。

以上、新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーについて、現時点で分かっていることをまとめてみました。ポイントをまとめると、

・アナフィラキシーとアナフィラキシーショックは、同じ状態をさすものではない。
・日本で新型コロナワクチンの接種後にアナフィラキシーとして報告された症例は、全員回復している。
・アナフィラキシーとして報告されている(報道されている)症例のうち、半数くらいが真の意味でのアナフィラキシーではない可能性がある。

ということになると思います。

皆さんが接種できるようになるには、まだしばらく時間がかかりそうです。そのころには、国内でのデータもさらに集まっていることともいます。アナフィラキシーは適切に対応すれば回復する病態なので、以上のような点もふまえて接種するかどうか検討していただきたいと思います。  (2021.3.15)